学校詳細
建学の精神、教育理念
「個性の尊重」「品性の陶冶(とうや)」「勤労の実践」
明治末期の画一的な教育や教育機会の不均等に疑問を持っていた創立者・中村春二は、「知育偏重ではなく、人格、学問、心身にバランスの取れた人間教育を実践したい」と1912年に同校の前身である成蹊実務学校を創立。「成蹊」という学園名は、「桃李不言下自成蹊」ということわざに由来。桃や李(すもも)は何も言わないけれど、美しい花を咲かせ、おいしい果実を実らせる。すると、それにひかれて人が集まり、樹木の下には自然と蹊(こみち)ができる。桃や李は人格者のたとえであり、徳を慕って人々が集まってくるような人になってほしいという創立者の願いが校名にこめられている。
教育の特色
多彩な探究プログラム
幅広い教養を身につけるリベラルアーツの実践に加え、物事の本質を見極める「探究学習」を実施。全員で取り組む探究活動以外に、希望制の活動も多数行っている。2020 年度から、大正製薬との協働による探究学習を実施(高1〜2の希望者)。設定された課題に対しマーケティング理論を学び、チームで課題解決に向けて情報を収集、整理、分析し、作成した作成した商品のボトルデザインをプレゼンテーションする。2024年度に生徒たちがデザインした「受験生応援」ボトルは、受験シーズンに全国で販売される予定。2022年度から始まった「成蹊スタートアップキャンプ」(中3~高2の希望者)は、アントレプレナーシップ(起業家精神)を学ぶ目的で行う、長崎県五島市を舞台とした4泊5日間の宿泊型プログラム。テーマに沿った学習を行い、テーマに関する課題を探っていく。先進的な考え方を持って移住した起業家などから話を聞いたり、現地の高校生と交流したりしながらフィールドワークを行い、解決策を提案。このような企業や地域とのつながりは、卒業生の紹介や提案などで実現することが多いのも同校の特色である。
●高3は19種類のコースを設定
高3では進路に合わせた必修選択科目により、19種類のコースを設定。全授業の約半分をコースごとに行い、自由選択の演習なども用意して様々な進路に向けた学習環境を実現。文系コースは国語(古典)、数学、地歴の選択により、理系コースは理科と数学の選択により細分化されている。理系コースからは、医歯薬系への進学者が多いことが同校の特色の1つでもある。多様な進路を目指すクラスメートそれぞれの個性を尊重しながらホームルームで過ごし、現代文と倫理、ホームルーム以外の授業はそれぞれが選択した授業の教室へ移動して学ぶ。進路や受験科目でクラスを固定せず、いろいろな人との関わりを持てる環境となっているので、多様性を知ることにつながり、個性を尊重し、様々な価値観に出会いながら成長できる。
施設設備
緑豊かなキャンパスに充実した設備
約27万平方メートルの広大な敷地に、小学校から大学が集結。学園本館前と外周路をあわせて100本以上あるケヤキ並木は、1924年に学校が池袋から移転した際に創立者が生徒と一緒に移植したもの。ケヤキ並木は学園のシンボルであり、武蔵野市の天然記念物に指定されているほか、東京都「新東京百選」、環境省「残したい"日本の音風景100選”」にも選ばれている。緑豊かなキャンパスでは樹木の観察などのフィールドワークも実施でき、家庭科の授業では、竹林で筍堀りをして筍ご飯を作ることもある。理科館屋上の天体ドームを活用し、野外観察会を開いて天文気象部が解説したり、外部から講師を招いて講義を受けたり、月食などがあればオンラインで中継するなどしている。図書室の蔵書数は16万冊、登録すれば成蹊大学の情報図書館も利用可能。
学校行事
生徒が企画する探究型学習旅行
体育祭や文化祭は、生徒主体で実施。5月に実施する遠足は、クラスの遠足委員が目的地や活動内容などを企画立案する。クラスごとに行き先はバラバラで、2024年度は鎌倉、葛西臨海公園、八景島、高尾、秋川、秩父、昭和記念公園などへ行き、バーベキューを楽しんだり、水族館での見学、大繩、ビーチバレーやドッチボール大会などで盛り上り、クラスの親睦を深めた。高2で実施する探究型学習旅行(コース選択制)は、クラスごとに班を作り(全88班)詳細な旅行プランを作成してプレゼンをする。クラス内選考を経て、代表班が旅行会社の担当者も出席する学年プレゼン大会に臨み、2023年度は愛媛のコースなどが実現した。一般的な修学旅行とは異なり、オリジナリティあふれる複数のコースから自身で選択して参加する形で行われる。
部活動
恵まれた環境で活動
勉強と部活動の両方を頑張れる環境を整え、週に5日まで、試験1週間前は活動停止という決まりの中でそれぞれ活動している。運動部は出場する大会が中高で違うので、基本的に中高別々に活動。文化部は一緒に活動している部もあり、硬式テニス部や剣道部など、活動は別々にしているが合宿だけ一緒に行く部活動もある。硬式テニス部は、インターハイ出場経験のある強豪。スキー部以外はキャンパス内に活動場所が全て揃っており、ラグビー部や野球部など、各部が恵まれた環境で練習できる。文化部で珍しいのは、中1から高3まで約50名からなるストリングス部(弦楽器のアンサンブル)。入部してから楽器を始める生徒も多く、楽器の貸し出しもしている。生物部も人気があり、例年50~60人の部員が集まる。勉強・部活動・行事を頑張ることを「三兎を追って三兎を得る」と例え、高校生は約8割の生徒が部活動に参加。
生徒会の活動としては、2011年から東北復興支援活動を続けている。被災地へ足を運び、被災者から貴重な話を聞いた経験を経て、文化祭で被災地の特産品を販売するなどの支援を継続。
進路指導
国内外の幅広い分野に進学
進路を主体的に選択できるように、社会人の代表として企業で活躍する卒業生に話を聞いたり、起業した人の経験談を聞くなど、様々な道があることを知るために大人と接する機会を増やすという取り組みも行っている。大手予備校の講師による大学受験に関する講演会、進路指導部によるコース選択の説明会なども実施。希望制の企画でテレビ局の見学や、成蹊大学が実施している産学連携の人材育成プログラムの見学など、様々な機会を用意している。
●内部推薦・大学進学
成蹊大学への内部推薦の資格は、高校3年間の成績によって決まる。例年8~9割の生徒がクリアし、約3割が成蹊大学に内部推薦で進学。成績優秀者は、成蹊大学の推薦資格を保持したまま他大学を受験できる内部推薦併願制度を利用できる。他大学へは総合型選抜などの年内入試で受験する生徒も増えているが、医学部への進学などで一般選抜での受験も多い。進学先は幅広く、人数が多いのは早慶上理などの難関私大だが、理系コースからは医歯薬系へ進学する生徒が多い。また海外大学に進学する生徒、東京藝術大学などの芸術系大学に進学する生徒もいる。
その他
歴史ある国際理解教育
早い時期から世界に目を向けた教育を実施しており、長期留学(1年間)やターム留学(1学期間)、短期留学(2〜5週間程度)など、留学制度も充実。テン・スクールズの1校として全米に名を馳せているアメリカのセントポールズ校とは、1949年に交換留学制度を開始。留学を機に海外名門大学に進学し、世界的に活躍している卒業性も多い。オーストラリア・カウラ市の高校とは1970年から交換留学制度を実施。カウラ市には第二次世界大戦の時に日本人の捕虜収容所があり、1944年に日本人捕虜の集団脱走により多くの犠牲者が出た場所である。そのような歴史的背景がある地で学ぶことは、平和のために活動できる人材の育成にもつながっている。また、北欧のデンマークとスウェーデンへの留学は、同校から留学した卒業生が橋渡しとなって始まった交換留学であり、同校独自の交流校となっている。2022年度からは、カナダのターム留学プログラム(9週間)もスタート。歴史あるプログラムだけでなく、時代に応じた新しいプログラムも含めた多数の選択肢から目的をもって選ぶことができる。留学生の受け入れも毎年行っており、授業や行事、部活動へも一緒に参加している。
●学園のマスコットキャラクター
キャンパス紹介の動画などにも登場する「ピーチくん」は、「成蹊」という名の由来となっている 「桃李不言下自成蹊」のことわざにちなんだマスコットキャラクター。ストラップなどのグッズも人気があり、「ピーチくんオフィシャルサイト」でプロフィールやグッズが紹介されている。
制服
女子は伝統的なセーラー服
中学校、高校ともに男子は詰襟、女子はセーラー服。高校は女子のスカーフが黒色で、中学・高校ともにセーラー服の襟には桃の刺繍がある。夏期の男子は、白ワイシャツに制服のズボン着用。女子はスラックスも選択可。