中村高等学校
スペシャルレポート
分析力・表現力・英語力を磨き
社会で使える力を育む3コースが始動!
公開日:2021.6.18
中村高等学校は2022年度から、これまでの普通科(特別進学コース・総合進学コース)と国際科を進化させ、普通科の「先進コース」「探究コース」「国際コース」という3コース制で新たにスタート。各コースの特色について教頭の江藤健先生に話を聞き、高校から入学した高2の生徒3人に学校生活についてインタビューした。
Index
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社会のニーズを見据えた「先進コース」「探究コース」
2022年度から始動する「先進コース」と「探究コース」は、社会の変化に対応し、これまで以上に社会のニーズを見据えたカリキュラムが組まれている。各コースの特色について、教頭の江藤健先生に話を聞いた。
需要が高まるデータサイエンスのスキルも習得
「先進コース」は、STEAM教育*など、文理のバランスが取れたカリキュラムが組まれており、データサイエンスの授業が含まれていることが大きな特徴である。情報化社会が進む中、データを扱える人材の需要は高まっている。大学では、滋賀大学が2017年度に国内初の「データサイエンス学部」を開設したのを皮切りに、データサイエンスを学ぶ学部や学科が年々増加。文系・理系を問わず多様な分野で必要とされるスキルとして注目され、全学部共通科目として、データサイエンスの授業を実施する大学も増えている。
「現代社会には、様々な情報があふれています。フェイクも含めた大量の情報から、必要な情報を取捨選択し、集めたデータを有効に使っていくためには、データサイエンスのスキルが不可欠です。大学や社会に出てからも、様々な場で求められる力だと考え、そのスキルを身につける授業を先進コースに組み込みました」
* STEAM教育は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)アート(Art)、数学(Mathematics)の5つの領域を横断した教育。
江藤健教頭先生
「先進コース」では、1年次は文理を分けず、2年次も最小限の文理選択。リベラルアーツの力が身につくように、可能な限り文理融合のカリキュラムとなっている。
「3年次には多彩な選択科目を設置して、志望する大学の受験に対応します。多様な進路に向けてサポートしますが、基本的には一般選抜を中心に国公立大・難関私大を目指すコースです。学習に取り組む中で、『なんで?』という気持ちが持てる生徒に向いていると思います。勉強に対して前向きな生徒、多角的に物事を見られるようになりたい生徒に、ぜひ入学してほしいです」
企業が提供する探究プログラム
同校ではこれまでも、探究活動に力を入れてきた。そのノウハウを活かしてさらにブラッシュアップした「探究コース」は、1年次から探究が4単位、深川探究が1単位、合計5単位の探究授業がカリキュラムに組み込まれている。
「企業からミッションをもらって、グループで取り組む課題解決型のプログラム、自由にテーマを決める個人探究、地元である深川に関連したテーマを設定して、自分の足でフィールドワークを行う深川探究など、3年間で10単位分を探究にあてています。問いを立てて、調べて、発表するというサイクルを回す機会を積み重ねていくことで、生徒たちの中で探究することが、当たり前のようになってほしいと考えています」
現高2の生徒は、1年次に企業とのコラボで化粧水のボトルと竹紙ファイルのデザインに取り組んだ。実際に商品化された2品は清澄祭(文化祭)で販売され、生徒たちは企画から製造、販売までの過程を体験。販売後には振り返りを行い、「もっと売るためにはどんなことができるか」を話し合った。「探究コース」では、このような探究サイクルを積み重ねていく。
「今の高2は、4月から好きなテーマで個人探究を行っています。テーマは自由に決めていいので、『恋をすると本当に胸が痛くなるのか。』『スマホから受ける影響とは』『AIに侵略される職業、侵略されない職業について』『昭和歌謡曲とJ-popの違い』など様々です。10月の清澄祭で中間発表、2月に完成発表という流れになっています。自分が好きなこと、興味があることをテーマにしており、楽しく取り組めることも大切です。ただ、『好き』なだけで決めると探究が深まらない可能性があるので、教員がサポーターとしてついて取り組んでいます。教員は、ヒントのヒントを出すなど、生徒たちが調べ学習を進める中でファシリテートするような役割です」
「探究コース」は、調べて発表するというサイクルの中で、プレゼンをする機会も多い。表現力がついてくるので、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜への強みになると、江藤先生は語る。
「探究コースは、とにかく話したい生徒、書くより話した方が楽という生徒に向いています。作文が得意でなくても、PowerPointでわかりやすいスライドを作って、上手にプレゼンできる生徒もいます。歌うのが好き、おしゃべりが好きなど、表現することが好きな生徒なら、プレゼン力を伸ばせるコースです」
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生徒や保護者のニーズに応えて進化した「国際コース」
同校では、2000年に国際コースを設置以来、独自の留学サポートシステムを培ってきた。提携校1校に1名の留学を原則に、1年間の全員留学をサポートしてきたが、2022年度からは、留学の期間が選べるようになる。ターム留学(3か月)、セメスター留学(6か月)、イヤー留学(1年)から選択し、全員が必ず海外での生活を送ることが「国際コース」の大きな特徴である。
大きな伸びが期待できる高入生
「国際コース」は、英語力や留学経験を活かして、総合型選抜や学校推薦型選抜を中心に、海外大学や難関私立大学への進学を目指す。
「1年間の留学では、耳も慣れますし、話せそうで話せなかった生徒も確実に英語力を伸ばしています。しかし、様々な事情で1年間は難しいというケースもあり、生徒や保護者からの要望に応えて、新コースでは3か月、6か月、1年から選択できるようにしました。イヤー留学(1年)は、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)、北米(カナダ・アメリカ)、アイルランドの提携校から選択します。現地校生徒と同じ授業を受けて、帰国後にその単位が認定されます。新たに設定されるターム留学(3か月)とセメスター留学(6か月)は、オセアニアへの留学になります。いずれも留学するだけで終わらせず、留学という機会を上手に活かし、行く前から英語力を高め、帰国後も英語力を落とさないことを目指すプログラムです」
昨年度は、コロナの影響で留学はできなかったが、ニュージーランドとカナダの学校とは、オンラインでの交流を行ってきた。留学の代替プログラムとして流動的に行っている取り組みだが、英語力やコミュニケーション力の向上に有効なので、今後もこのようなプログラムを取り入れていくことを検討しているという。
「国際コースが目指すのは、ただ英語が話せるだけではなく、ツールとして使いこなせるようになることです。しかし、中学時代に英語の成績がそれほどよくなくても、心配はいりません。本校では、英検3級レベルで留学できます。もちろん現地に行ってから努力が必要になりますが、多くの生徒が1年間過ごすうちに、大変さを乗り越えて英語の楽しさを実感して帰ってきます。中学校時代の成績は、英語の授業時間が大きく関係しているのです。本校で英語の授業数が増えれば、高入生はぐんと伸びます。英語を使って何かしてみたいという気持ちがあれば、国際コースで学ぶことで大きな伸びが期待できます」
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高校2年生(高入生)にインタビュー
高校から入学した2年生の生徒3人に、授業や学校生活について聞いた。
Tさん:高2(総合進学コース)、Yさん:高2(特別進学コース)、Kさん:高2(国際科)
―― この学校を志望した理由は?
<Tさん> 都立の併願校として3校ぐらいまわったのですが、他校と比べて温かい雰囲気で、カツカツしていない感じがよかったです(笑)。他校では、「うちの学校に入って!」という気持ちが強すぎる感じがしたのですが、中村はそのような感じがしませんでした。
Tさん
<Yさん> 私も県立が第一志望だったので併願校を探していて、駅からも近いし、少人数制で進学実績もいいので決めました。千葉県からも通いやすいです。
Yさん
<Kさん> 私は1年間留学するために、この学校に入りました。現地での単位が認められるのが、一番の魅力です。もともと英語は苦手で大嫌いだったのですが、塾で出会った先生がとても面白くて英語を勉強したくなりました。その先生が外資系の会社に勤めていたので、海外にも憧れるようになりました。
Kさん
―― 学校生活はどうですか?
<Tさん> 優しい先生が多く、よく話を聞いてくれます。私はハンドベル部ですが、部活でちょっと困ったことがあったときも、顧問の先生が相談にのってくれました。
<Yさん> 私のクラスは高入生が私だけだったので不安でしたが、みんな明るく接してくれました。去年は6月からの登校でしたが、7月ぐらいにはみんなと遊んでいました。なんとなく女子校って怖いのかな、という不安もありましたが、内進生と高入生の壁もなく楽しく過ごせています。
<Kさん> 国際科は全員が高入生なので、誰も知らない状態でしたが、逆に打ち解けるのも早かったです。クラスに親友もできました。たわいもない、どうでもいいことばかり話していますが、毎日楽しいです(笑)。
―― 留学への期待などについて教えてください。
<Kさん> 去年はコロナで予定通り留学に行けませんでしたが、ネイティブの授業が倍ぐらいになり、リスニング力はすごく上がりました。やっとビザが発行され、8月からにカナダに1年留学します。今はカナダの学校とオンラインプロジェクトをやっていますが、リスニングはできて、相手が言ってることもわかるのに、アウトプットができません。頭の中に英文はできているのに、なぜか出てこないんです。5人で1つのiPadに向かってやっているので、緊張や恥ずかしさがあるのかもしれません(笑)。留学すれば話せるようになると思うので、絶対に行きたいです。
―― どんな授業が楽しいですか?
<Tさん> 日本史演習の先生が、落語家みたいに物語風に教えてくれるのでわかりやすいです。
<Yさん> 英語の授業はわかりやすいですが、テストが難しいです。大学入試の応用問題ばかりで、なかなかよい点が取れませんが、応用力が身につき、実力が着実に上がっていると感じています。
<Kさん> 古典の先生が、たまに歌いだしたりしてユニークなので好きです。楽しく取り組めています。
―― 企業とのコラボで化粧品のパッケージなどを企画した、探究活動はどうでしたか?
<Tさん> 企業との企画は初めてだったのでドキドキしましたが、毎回社長が学校にきて見守ってくれていたことが印象に残っています。東京工芸大学教授の話を聞いたり、企業の方からSDGsの説明を聞いたり、いろいろな人に触れる機会があり、将来を考えるきっかけにもなりました。
<Yさん> グループにわかれて、化粧水のパッケージや竹紙ファイルのデザインを考えました。高校生の意見はあまり採用されないかと思っていましたが、できるだけ尊重してくれたのでいい体験になりました。
<Kさん> 実際に企業の工場に行って、デザインしたシールをボトルに貼っているところなどを見せてもらいました。目の前で見ると、本当に実現していることがわかって、とてもよい経験になりました。
―― 将来について教えてください。
<Tさん> 4年制大学の経営学部に興味があります。私はジャニーズ事務所が大好きなので、事務所のアイドルを売り込むなど、芸能関係の仕事に就きたいです。所属しているグループも好きですが、とにかくジャニーズ事務所自体が大好きなので、何かの形で関われたらいいなと思っています。
<Yさん> やりたいことが多すぎて、まだ4年制の大学へ行くことしか決まっていません。子どもが好きなので保育士もいいなと思ったり、ディレクターなどテレビ関係の裏方にも興味があります。心理カウンセラーになって、みんなの相談に乗ったりしたいという思いもあるので、これから絞り込んでいきます。
<Kさん> 英語で授業する大学や、ネイティブと触れ合える大学に進学したいと思っています。将来は、外資系など、英語を使う仕事に就いて、ステキな人に出会って幸せに暮らしたいです。お互いに財力があってこそいい生活ができるので、自分もしっかりと収入が得られる仕事に就きます。そのためにも、英語にどっぷりと浸かれる大学を目指して頑張ります。
取材を終えて
Tさんの志望理由で、「中村はカツカツしている感じがなかった」という言葉が印象的だった。大人が無意識に作り出している雰囲気を、「カツカツしている」と感じていたのだ。そして彼女にとっては、「カツカツしていない」と感じた学校を選んだことが、楽しい学校生活を送ることにつながっている。コロナ禍ではあるが、来校型の説明会が開催される際には、ぜひ参加して雰囲気を肌で感じていただきたい。
所在地
〒135-8404
東京都江東区清洲2-3-15
TEL 03-3642-8041
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