スクール特集(目白研心高等学校の特色のある教育 #7)

2026年度に「英語に強い」理数系を育成する新コース設置
英語教育に定評がある目白研心高等学校が、2026年度に「グローバル・サイエンス・コース」を新設。「英語に強い」理数系を育成する新コースを取材した。
英語教育に定評がある目白研心高等学校が、2026年度に「グローバル・サイエンス・コース」を新設。英語教育での実績を活かして「英語に強い」理数系を育成する新コースの特色について、教頭の斎藤正巳先生に話を聞いた。
私大の理系を目指す新コース
早くからグローバル人材のニーズを見据えて、30年以上前からネイティブ教員による授業を行うなど、英語教育に力を入れてきた目白研心高等学校。2023年に100周年を迎え、次の100年に向けて積極的な教育活動を展開している。その1つとして、2026年度から既存の3コースに加えて「グローバル・サイエンス・コース」がスタート。英語教育で実績を重ねてきた学習プログラムを活かし、「英語に強い」理数系を育成するコースが新設される。
「女子校からスタートした本校は2009年に共学化しましたが、1:2ぐらいの比率で女子の方が多い時期が続いていました。昨年度から男子の人数が女子を上回ってきたこともあり、理数系を志望する生徒が1.5倍くらいに増えてきました。これまで以上に理数系の人材が求められる世の中になってきたという背景もあり、英語に強い理数系のグローバル人材を育てるために、グローバル・サイエンス・コースを新設することになりました」(斎藤先生)
▶︎斎藤正巳教頭先生
コース別の募集となり、1クラス(25~30人)からスタートすることを想定しているという。
「受験生は、国公立大学や早慶上理を目指す特進コース、GMARCHへの進学などを目指す総合コース、海外大学への進学も視野に入れたSuper English Course(SEC)、私立大学の理系を目指すグローバル・サイエンス・コースという4コースから選んで出願することになります。それぞれが特色ある教育を行っているので、基本的には入学後の移動は想定していません。グローバル・サイエンス・コースについては、単願推薦と併願推薦・優遇の基準を5教科の合計、あるいは英・数・理それぞれの基準を設けています。国語や社会が苦手な場合でも、英・数・理が得意であれば単願推薦や併願推薦・優遇で受験できるように基準を設定しました」(斎藤先生)
新コースで取り組む探究テーマは「都市計画」
「グローバル・サイエンス・コース」では、都市計画(街づくり)をテーマにデータサイエンスを活かした探究活動を進めていくという。
「都市計画(街づくり)という大きなテーマの中から個々に課題を設定し、調査・研究・検証・フィールドワークなどを行って、研究結果を発表します。都市計画というテーマの中には、地域のブランディング、文化や施設の利活用、コミュニティづくり、インフラの問題など、様々な課題があり、身近なテーマとして選びやすいと考えました。外部講師も招へいし、西新宿スマートシティや羽田イノベーションシティを見学するなど、実践的な都市計画(街づくり)を学ぶ機会を用意しています」(斎藤先生)
他コースの修学旅行先は台湾となっているが、新設される同コースは、「サイエンス・リサーチ・プログラム」としてシンガポールとマレーシアを訪れる。
「グローバルな視点で理数探究を究められるように、世界中から注目されてきたシンガポールの都市計画について学ぶプログラムを用意しました。現地でフィールドワークを行うほか、起業家による講演会、理工系の大学に通う大学生や現地高校生との交流を通して最先端研究に触れるプログラムです。都市を比較するためにマレーシアも訪れ、大学訪問やフィールドワークを行います。プログラムを通して最先端研究に触れ、様々な人と出会うことで、学習や研究へのモチベーションも高まり、グローバルな視点で課題を見つけるきっかけなども得られるでしょう」(斎藤先生)
「英語に強い」理数系を育てる学習環境
同校の英語教育は、週7コマの授業でアウトプットの機会を増やし、4技能をバランスよく身につけられるように構成されている。高1の英語は、日本人教員による週3コマの「英語コミュニケーション」、2コマの「論理表現」に加えて、ネイティブ教員による「Speaking/Writing」が週2コマある。また、定期試験毎に3学年統一単語テストを実施。試験範囲は英単語帳「キクタンBasic4000」の全範囲で、日頃の積み重ねが問われる。
「理系を選択する生徒の中には、英語学習へのモチベーションが上がらないという人も多いようです。本校は早くから英語教育に力を入れてきたノウハウもあり、時間数を多く取って着実に力を伸ばしていける独自のプログラムを展開しています。グローバル・サイエンス・コースでは、取り上げる英文のテーマを科学的なものにするなど、入試の英語問題にもつなげていきます。理系の受験で差がつくのは英語なので、本校の英語教育で着実に英語力も伸ばしていってほしいです」(斎藤先生)
「サイエンス・リサーチ・プログラム」やデータサイエンスを活かした探究活動は、総合型選抜などの年内入試での強みにもなると斎藤先生は語る。
「このコースは、私大の理系に目標を絞っています。高1、高2で行った研究を実績として総合型選抜などの年内入試に挑戦することもできますし、英語力に磨きをかけてグローバルに活躍できる人材へと成長していくことができるコースです。本校は、所沢や浦和などの埼玉方面からのアクセスもよいですし、千葉方面からも電車1本で来られます。本校の学びで、ぜひ理数系の可能性を広げてほしいです」(斎藤先生)
<取材を終えて>
「都市計画」というテーマを軸に探究活動を進めていくことが、このコースの特徴の1つである。例えば工学部の「都市工学」で学ぶ分野は、建築学や設計、製図といった建物に関する分野と、交通計画や自然災害、環境学など、都市を作るために必要な分野があり、取り組むテーマは幅広い。探究活動を進める中で、理系の中でもどのような分野に進みたいか見えてくるだろう。理系の学部を受験するということは、理系が得意な生徒たちと競うことになるので、差がつくのが英語である。同校には早くから英語教育に力を入れてきたノウハウがあることに、注目していただきたい。