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目白研心高等学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(目白研心高等学校の特色のある教育 #5)

本格的な茶室で楽しく学ぶ茶道部! 細やかな心配りで「おもてなし」

目白研心高等学校には日本庭園を見わたすことのできる本格的な茶室があり、茶道部はそこで活動している。文化祭で来校者にお点前を披露するために練習を重ねる茶道部を取材した。

茶道を通して学ぶ「おもてなし」の心

茶道部顧問の廣瀬敬子先生と表千家茶道教授の新井泉先生に、日頃の活動や茶道を通して身につく力について話を聞いた。

茶道を通して身につける「おもてなしの心」

同校の茶道部は、表千家茶道教授の新井泉先生による指導のもとで、週1回活動を行っている。運動部のように大会があるわけではないので、生徒たちにとって大切な発表の場となるのが文化祭である。しかし、文化祭だけが目標ではないと廣瀬先生は語る。

「生徒たちはお点前の流れを通して、気持ちの持ちようや立ち居振る舞い、相手を思いやる気持ちを毎回経験しています。お客様をお迎えしたときに、どんな気持ちでお迎えすれば相手にそれが伝わるか、毎回身をもって学んでいるのです。生徒たちからは、その学びを楽しんでいることが伝わってきます。文化祭でのお点前や、大学生になっても茶道を続けてお免状を取る人もでてきますが、必ずしもそこが目標ではありません。表千家の茶道を楽しみながら学び、そこに価値を見いだして練習に臨んでいるのです。作法について厳しく言われるからやるのではなく、楽しく部活動に参加しています」(廣瀬先生)

大切なのは相手への「心遣い」

文化祭では、お茶席をテーブル式で行う立礼卓(りゅうれいじょく)でお客様を迎える。夏休み中は、畳の上でのお点前と立礼卓の両方を行っている。ただ、お点前がすべてではないと新井先生は説明する。

「通常の活動では、お点前のお稽古ができる人数が限られているので、それ以外の生徒たちはお客様の稽古をしたり水屋でお茶を点てたり、割り稽古やお運びのお稽古をしています。お点前は表に見えていることであって、その裏にはたくさんのことがあり、茶室や水屋をきれいに保つこと、道具を丁寧に扱うこと、またお客様へ頃合い良くお茶をお運びできるようにすることもとても大切です。自分がいつどのように動けばいいか、常に心を配って、気働きのできる人になってほしいという思いが根底にあります。それが社会に出たときにも役に立つということは、生徒たちにも伝わっているでしょう」(新井先生)
夏休み中は、部員たちが掃除からはじめて、お稽古が終わると何もない状態に片付けるところまでやって帰っていくという。
「茶道のお稽古を通して、物の片付け方も丁寧になります。脱いだ靴を揃える際にも、正面を向いて靴を脱いでから、向き直って靴を揃えるなど、日常につながることがたくさんあるのです。美しく流れるようにお茶を点てられればベストですが、私たちでも日によって心もちが変わることがあります。もし上手く出来なかったとしても、それも含めてお茶なのです。一番大切なのは、相手に対しての心遣いだと思っています。生徒たちが大きな失敗をすることはあまりないですが、失敗からも学び静かに自分自身と向き合い他者への敬意と思いやりの気持ちを持ってお茶の心を大切にしていってほしいです。茶道の学びには終わりがありません。私たちでも、まだまだ追求していく世界なのです」(新井先生)

校舎の中心にある茶室と日本庭園

本格的な茶室は、部活動以外にも活用されている。中学生向けに行われている茶道体験などについて、新井先生と廣瀬先生に話を聞いた。

学年全体で茶道を体験する「研心の時間」

コロナの影響で2022年までは実施できなかったが、同校では例年、中1を対象に「研心の時間」として茶道体験を行ってきた。茶道部で指導している新井先生をはじめ、何人かの講師を招いて、クラスごとに50分という時間の中で茶道体験をする。「お茶の歴史」についての説明にはじまり、お点前を見学し、お菓子とお茶の頂き方を学ぶ。その後、自分でお茶を点てることも経験。体験した生徒からは「掛け軸や茶花を飾る意味がわかった」「これからは相手を思いやり感謝することを忘れないで生活していきたい」などの声が寄せられている。

「和室で正座をするというのも、1つの体験です。コロナ前までは中1で実施していましたが、2年間できなかったので今年2月には中3で実施しました。中3は反応がとてもよく、年齢が変わると受け取り方も変わることがわかりました。今後は、中3で実施するのがいいのか、あるいは各学年でできないかなど現在検討しています」(新井先生)

「茶の湯は常の事なり」

早くから英語教育や異文化交流に力を入れてきた同校は、日本文化を理解した上で海外の人と交流することが重要だと考えている。校舎の中心に茶室と日本庭園があることも、その思いを反映したものだという。コロナ禍以前は、留学生を招いて茶道体験をしてもらうこともあった。今年度以降、またそのような異文化交流も再開されるだろう。

「部員の中には、海外経験がある子もいます。理系の子もいますし、文系だから日本文化を学ぶということでもありません。卒業後は、理系の大学で数式に取り組んだり、英語力を活かして海外で活躍したりと、自分のやりたいことを存分にやってほしいです。その中で、週1回の部活で経験したことや新井先生に教えていただいたことは、薄く長く残っていくものだと思います。卒業したらやらない人もいるでしょうけれど、どこかのタイミングで『特技は何ですか?』と聞かれたら『3年間茶道を学びました』と自信を持って言えるように茶道を学んだ記憶が薄く長く残ってほしいです。茶道部で一生懸命に頑張ってきたことは、これから先の人生で必ず生きてくると思います」(廣瀬先生)
表千家七代・如心斎は、「茶の湯は常の事なり(茶は日常のことなり)」という言葉を残している。
「お茶は日常のことであり、決して特別なことではありません。家族にでも、自分にでも、誰かのために一服を点てて、美味しい和菓子とお茶をいただく時間が大切なのです。廣瀬先生が言うように長く薄く残って、またお茶に目覚めてくれたらいいなと思っています」(新井先生)

茶道部の部員6人にインタビュー

中・高合同で活動している茶道部。中学生2人と高校生4人に、活動内容や茶道の魅力について話を聞いた。

▶︎写真左から:Tさん、Fさん、Sさん、Iさん、Mさん、Nさん、Rさん

■話を聞いた人
Rさん 高3
Nさん 高3 部長
Mさん 高3 副部長
Iさん 中2
Sさん 中2
Fさん 高2

――茶道部に入ろうと思った理由を教えてください。

Rさん 日本らしい部活をやってみたいという気持ちと、あんこが苦手なので克服したいと思って入部しました。いつも両親から、「あんこが食べられないのはもったいない」と言われていたんです(笑)。家ではまだ無理ですが、部活のときは抵抗がなくなりました。

Nさん 母が茶道をやっていたのですが、学校見学に来たときにとても綺麗な茶室を見て、私もやってみたいと思いました。日本文化に触れる機会はなかなかないので、部活動で経験できてよかったです。

Mさん 私の母も茶道をやっていて、私も日本文化に触れてみたくて入部しました。小さい頃からアメリカやイギリスなど、海外と日本を行き来する生活で、高校に入学する前はイギリスに住んでいたんです。これまで日本文化にあまり触れてこなかったので、ぜひ学びたいと思いました。

Iさん 小1の頃に裏千家の茶道を少しやっていました。中学受験をするときに学校見学に来てこの茶室を見たら、茶道を特技にしたいと思うようになり入部しました。

Sさん 私はダンスと水泳の習い事をしているので、中学では日本文化に触れてみたいと思いました。活動日数も少ないので、ダンスや水泳と両立できるのもよかったです。

Fさん 僕は小学生のときに茶道クラブに入っていました。中学に入学するときに何か部活に入りたいと思ったのですが、習い事もしているので、運動部だと活動日が多く両立が難しいです。茶道部は週1で、今までやってきたことが活かせるので入部しました。

――茶道部の活動ではどんなことが楽しいですか?

Rさん 今は、文化祭用に立礼卓(テーブル式)の流れを確認しています。去年初めてやったときは全然できなかったのですが、今年は久しぶりにやってもできていました。体で覚えるということを体感できて楽しいです。

Nさん 立礼卓の流れを一通りやるときに、最初は順番もわからず教えてもらっていたのですが、だんだんと流れでできるようになったとき成長したなと感じました。そして、お点前を一人でやりきれるようになったことに、嬉しさも感じています。

Mさん お茶を点てるときに、お茶の量やお湯の量で味が変わるので、どの量が一番美味しいのか模索するのが楽しいです。

Iさん お点前をしたときに、順番を間違えずに最後までやりきれたことが嬉しかったです。去年の秋ぐらいには、一通りの流れができるようになりました。

Sさん 今年になってから、一連の流れをしっかり覚えられたなと感じられ、後輩に教えられるようになったので成長したなと感じました。

Fさん 部活では練習だけでなく、お茶会もしています。その時々で違う菓子でお茶をいただき、みんなで「美味しかったね」などと言える雰囲気も楽しくて好きです。お茶自体が好きなので「このお茶菓子はお茶に合うな」と思ったり、お菓子をお茶と一緒にいただくと引き出される美味しさがあることにも気づけます。

――茶道部はどんな雰囲気ですか?

Rさん 茶道部に入る人はおしとやかで静かというイメージでしたが、入ってみるとそうではなかったです(笑)。卒業した先輩とも仲良くしていたし、同学年も何でも話せる関係で、後輩とも上下関係なく楽しく過ごしています。

Nさん 中・高合同なので年齢の幅が広いですが、幅を感じないくらい仲が良く、厳しい上下関係などもありません。教えるときも先輩だからということもなく、後輩でもお互い教え合えるいい関係です。

Mさん お点前をしている間は静かで心地いい雰囲気ですが、お点前が終わった瞬間に「お茶菓子がおいしかったね!」などとワイワイ盛り上がるので、そのギャップが面白いなと思います。

Iさん 運動部だと上下関係が厳しい部もあるようですが、茶道部は学年を超えて仲がいいのでよかったです。

Sさん 先輩ともよく話し、アニメや舞台など、共通の趣味で盛り上がったりします。私たちが入部したときは中学生の先輩がいなかったのですが、高校生の先輩がいたので、中高一貫でよかったと思いました。

Fさん 茶室には躙口(にじりぐち)と呼ばれる客用の小さな出入口がありますが、偉い人でも低く頭を垂れて入らなければなりません。茶室の中ではすべての人が平等ということを示すために、このような入り口が作られたと言われています。今は男子の部員が3人ですが、先輩後輩や男子女子関係なく、同じ感覚でお茶を楽しめる仲間です。

――部活の目標を教えてください。

Mさん 基本的に校外での活動はないので、今は文化祭でお客様を招いてお点前をするための準備をしています。

――異文化交流の場で茶道を活かした経験はありますか?

Fさん 今年の春に2週間、オーストラリアでホームステイを経験しました。ホストファミリーへの手土産として、お茶の道具を一式持っていってお茶を点ててあげました。人に教えられるレベルになっていてよかったです。ホストファミリーはもともと日本文化が好きな家族でしたが、お茶を点ててもらうのは初めてということで、とても喜んでもらえました。

Iさん 私はまだ経験はありませんが、来年、修学旅行でカナダへ行くので、そのときに日本の文化として茶道を紹介できたらいいなと思っています。

――着物を着てみた感想を教えてください。

Rさん 今日初めて着物を着ましたが、背筋がピンとする気がします。

Nさん 前回初めて着物でお点前をしましたが、着るだけで気分が違ってシャキッとします。着物を着たことで1つ1つの動作が大事だと、改めて感じることができました。普段も気にしていたつもりでしたが、いつも以上に丁寧にできたと思います。

Mさん 今日初めて着物でお点前をしましたが、制服と違って袂があるので、袂が建水(湯水を捨て入れるための器)に入ってしまわないか、ものを倒してしまわないか少し心配でした。なんとかうまくできたので、着物ですごいことをしていると感じて嬉しくなりました。

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Rさん 体育館に冷房があるので、夏も快適です。

Mさん 図書館と学習支援センターです。支援センターでは、週1回、数学の個別指導を受けています。チューターの先生もわかりやすく、わからない問題や聞きたいことあると気軽に質問できます。

Iさん 中学受験をしましたが、この学校の選抜方法が私にとってはよかったです。高校になると選抜方法が限られてきますが、中学受験だと2科、4科、英語、算数、適性検査型など、いろいろあります。私は、少しだけ海外経験があるので英語スピーチで受験しました。みんなが受験勉強でピリピリしている中で、私は受験生ながらリラックスできたのでよかったです。

Sさん 学校全体の人数が多いので行事も大規模で、運動会は代々木体育館でできて楽しかったです。カフェテリアは公立の学校だとないと思いますが、お弁当を忘れても大丈夫ですし、友達とおしゃべりしながら楽しく昼食を食べられます。メニューでは唐揚げが好きです(笑)。

Fさん 高校では「特進コース」「総合コース」「Super English Course(SEC)」があり、コース選択は中3の1年間がトライアル期間で、 高1で確定します。僕の場合は中3でSECを選択しましたが、今は特進です。2つのコースを体験しましたが、やりたいことをできるだけやれるようにサポートしてくれる学校だと感じました。SECは特殊なコースですが、プレゼン力や表現力を養いたい人に向いていると思います。難関大学を目指すなら特進というように、目標にあった選択ができるのがよいところです。

【取材を終えて】
ホームステイ先でお点前を披露したという、Fさんの話が印象的だった。異文化交流の場で、そのような形で日本文化を紹介できるのはとても素晴らしいことだと思う。何よりも、校内にあのように立派な茶室があることが大きな魅力である。文化祭では茶道部がお点前を披露するので、素晴らしい茶室と部員たちの「おもてなしの心」をぜひ体験していただきたい。

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