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スクール特集(目白研心高等学校の特色のある教育 #2)

英語で発信する力を身に付け 国際社会で活躍する若者を育成

独自の育成プログラム、多彩な海外研修&留学制度、SEC(スーパーイングリッシュコース)の設置など英語教育に力を入れ、グローバルな人材を育成している目白研心高等学校。その取り組みを取材した。

以前から英語教育及び国際教育に力を注ぎ、その実績に定評のある同校。近年は、語彙力の定着を図りながら、4技能をバランスよく伸ばし、コミュニケーション力や発信力を身につける学習も強化している。同校の英語教育について教頭の吉田直子先生に話を聞いた。

日本人と外国人の教員が連携して授業を実施

同校の1年次の英語の授業は週7時間、そのうち5時間を「コミュニケーション英語Ⅰ」、2時間を「英語表現1」に設定している。吉田先生は「文部科学省では『コミュニケーション英語』の授業の基準を3単位にしていますが、本校は5単位にして日本人教員が3単位、ネイティブスピーカーの外国人教員が2単位を受け持っています」と話す。
日本人の教員は検定教科書を用いて、読解や文法事項の解説、リスニング、ライティングを中心とした授業を展開。一方、ネイティブの教員が担当する授業は、1クラスを20人未満に2分割し、オールイングリッシュで実施。文法事項を使って話す練習、グループワーク、自分の考えを表現する学習などを行っている。
「1週間の授業を、双方の教師が連携して進めています。生徒は習った文法などもすぐに実践するので、確実に習得することができます」

また、吉田先生によると「日本の検定教科書は、環境問題やAIの進歩といった社会的な題材を扱い、内容が充実している」と言う。「日本人教員と外国人教員で同じテーマを取り上げグループでディスカッションをしたり、自分の意見を述べたりしながら、論理的に考える力を育てています。
そして、本校の外国人教員は全員、自国の教員免許を取得しているか、TESOL(英語教授法プログラム)の長期研修を受けたスペシャリストです。よって、いわゆる日常英会話を教えるのではなく、アカデミックな授業を組み立て、リーディングやライティングも専門的な知識をもって指導しています」

さらに同校は、英語での対話力をもった生徒を育成するために、SEC(Super English Course)を2014年度に設置。
「このクラスでは『ACEプログラム』をよりパワーアップした学習を行っています。加えて発信力を付けるために、グループディスカッションやプレゼンテーション、スピーチなどもたくさん行っています。以前、SECの卒業生が『英語のプレゼンを3年間で30回以上もやってきたから、アイデアがあればいつでもどこでも発表ができる』と笑いながら話していました。当時、それだけの回数をこなすのは大変だったと思いますが、経験が糧になっているのですね」
 その他、SECでは興味のあるテーマを1年間かけて研究し、まとめた論文を発表する「ジーニアス・アワー」という授業や、いろいろな国のニュースを取り上げてディスカッションをする「ニュースペーパー・イングリッシュ」などの学習を実施。また、全員がオーストラリア西部の姉妹校へ70日間、留学をする。

▶︎教頭 吉田直子先生

英語力を高めるために、語彙の習得を徹底する

様々な英語の取り組みを行っている同校だが、吉田先生は「語彙を身に付けるという地道な学びも重視しています」と話す。その1つが、4000語の英単語を収録した『キクタンBasic4000』をマスターすることだ。「文法を習得しても、語彙が不十分だったら書くことも話すことも、また人に伝えることもできません。英語で受信したり発信したりするためにも、基本となる語彙力を高めることが必要なのです」
そこで同校は、年5回の定期考査時に、MVP(Measurement of Vocabulary Proficiency)という英単語テストを実施している。「キクタンの全範囲から60問出題し、全学年の生徒が受けます。やはり学年が上がるごとに平均点も上がり、なかでも50点以上の高得点者は、高1ではほとんどいませんが、高3になると60人近くまで増えます。4人に1人の割合です。満点をとっている生徒のキクタンは、もうボロボロの状態で、また、そういう生徒は早慶上智などの難関大学の合格も果たしていきます。希望の進路を実現するためにも、コツコツと語彙を習得することが大事ですね」。吉田先生は、キクタンを「努力の指標」と呼んでいるそうだ。

高校MVP 成績推移

また、同校は英検の指導にも力を注いでいる。具体的には、英検CAT(コンピュータ適応型テスト)を導入し、生徒たちが学校や自宅のパソコンで、単語・熟語の習得や、過去の問題演習などを自分のペースで学習できる環境を整備。また、校内の学習支援センターと連携して、長期休暇には英検対策実践講習を行い、二次試験の面接対策では、ネイティブ教師を含む英語科の教師がマンツーマンで指導をしている。
 「高3の準2級以上の取得者は、6月時点で169人、高3生全体の57.3%です。実際には、この数字は2年修了時のもので、卒業までにはもっと伸びると思われます。文科省は、『高3で英検準2級合格相当と思われる英語力を持つ生徒を50%にする』ことを目標にしていますが、2018年度の実績は約40%に留まり、それから比較すると、本校の生徒の英語力は高いと言えますね」

英検準2級以上取得者数 調査

30年続く伝統の留学制度。国際交流も拡充へ

同校は6か国22校と姉妹校提携を結び、現在まで300人以上を派遣するなど、留学制度も充実している。

「1990年に、カナダのウエスト・バンクーバー45学区の公立校と交換留学を始めたのが始まりで、30年経った今も交流が続いています。ACEプログラムは、その学校の先生が約20年前に本校へ来た時に、作成してくれたものがベースになっています。また、十数年前、本校で英語を教えていたニュージーランド出身の先生が自国に戻り、クライストチャーチの学校の国際部長になったことがきっかけで、その学校と提携をしたり、以前、交換留学でオーストラリアから来た学生が、現在、本校の英語教師をしたり、いろいろなご縁がありますね」と吉田先生は語る。

留学は1年の長期のものから、約3か月のターム留学、約2週間の語学研修なども用意している。また、高2では、修学旅行で台湾へ行き、アジアの同世代の若者と英語を使って、異文化交流を行っている。30年前から学校内にはグローバル教育部(旧:国際教育部)があり、海外留学や国際交流の支援活動をさらに推進しているそうだ。

最後に同校では、英語教育を通じて、生徒たちにどのように育ってほしいと考えているのだろうか、吉田先生に語ってもらった。
「日本語以外の言語を習得することは、異文化や他者を理解するための武器となります。そして、自分の言葉で話をし、思いを伝えることができれば、それだけ人との関わりや世界が広がり、それが人生を豊かにします。私たちの願いは、生徒たちに豊かな人生を送ってもらうこと。英語がその一助になればよいと思っています」

(取材を終えて)
英語教育やグローバル教育の必要性が声高に言われる以前から、同校は力を入れてきたので、日々の授業や国際交流などにも、長年の経験が生かされている。同時に、コミュニケーション力や発信力を強化するなど、時代を見据えた学びにも、迅速に対応している。そうしたなか、語彙力を付けるという地道な学習も大切にしていて、アグレッシブでありながら、地に足の付いた英語教育を実践していると感じた。

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