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東京立正高等学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(東京立正高等学校の特色のある教育 #3)

生活しながら世界を知り、外から日本を知る3ヶ月間のターム留学

東京立正高等学校では、ニュージーランドへのターム留学を2022年度からスタート。3ヶ月間ホームステイをして、現地の学校に通った生徒に話を聞いた。

これまで東京立正高等学校では、海外プログラムとしてオーストラリア夏期交流プログラム(高1~高3・希望者)、カンボジア研修(高2・イノベーションコース対象)を用意していたが、2022年度からニュージーランドターム留学(高1~高2・希望者)が加わった。SDGsと関連づけた課題解決型海外研修であるカンボジア研修や、10日間のプログラムを体験するオーストラリア夏期交流プログラムとは異なる、現地で生活をしながら世界や日本を知ることを目指すプログラムについて、校長の梅沢辰也先生と参加した生徒に話を聞いた

ターム留学は「体験」ではなく「生活」

2022年度からスタートしたターム留学は、3学期の3か月間、ニュージーランドでホームステイをしながら、現地校で現地の生徒と一緒に授業を受ける。自身の英語力に合わせて履修する科目を選択することができ、滞在中は現地在住の日本人コーディネーターがサポート。1回目となった2022年度は、高1の希望者11名が参加した。

「体験ではなく、生活や日常のレベルにしたいと考えると、最低でも3ヶ月は必要です。理想は半年か1年ですが、学園の取り組みとしてまずはターム留学からスタートするのが適正だと考えました。新学期が始まるタイミングなどを考慮してニュージーランドを選びましたが、参加した生徒たちの声を聞くと、人も時間の流れも『ほんわかした雰囲気』でとても過ごしやすいようです。3学期はこちらの学校に通いませんが、現地の学校に通うことで出席として、成績は1学期と2学期からの想定で評価します」(梅沢校長先生)

保護者や生徒向けの説明会なども早い時期から行い、情報提供をしていく。

「3ヶ月という期間を現地で生活することになるので、費用もかかりますし、健康面やアクシデントなど、何が起きるかわかりません。本人と家族が行くという決断をするために必要な情報を提供して、それに対して本人たちが調べたりする時間も必要でしょう。ですから、参加希望者には3月から説明会を始めています。6月に締め切ってから、現地で通う学校の希望を聞いて振り分けたり、私学財団に補助金の申請手続きをします。基本的に希望者は全員参加できますが、補助金の交付には人数制限があるので、越えた場合に限り、高1は1学期の成績、高2はそれまでの成績による選考があります。今年度は30名ぐらいが説明会に参加していましたが、実際に申し込んだのは約10名でした」(梅沢校長先生)

ターム留学で2つのことを感じてきてほしいと、梅沢校長先生は語る。

「まずは、他国の言語や生活習慣、家族のあり方など、知らなかったことを知る機会になってほしいです。もう1つは、海外へ行くことによって外から日本を知ってほしいと思っています。本校としては、こちらの方に重きを置いています。英語力があっても、外に出ないと日本のいいところやおかしさに気づくことはできません。日本の中からの視点では、わからないことも多いのです。1週間や2週間ではなく、生活するところまで落とし込んで、日本についての思いを持って帰ってきてほしいです」(梅沢校長先生)

帰国後にはフィードバックの面談も行い、生徒たちから様々な声を聞いているという。

「昨年度が1回目なので、今年度以降、2回、3回と経験を重ねていく中で、プログラムをどのように活かしていけるかなども見えてくると思います。生徒たちが感じたことは、個の財産で終わらせずに、学園全体の財産にしていけるように考えていきたいです」(梅沢校長先生)

▶︎校長 梅沢辰也先生

ターム留学を経験した生徒2人にインタビュー

Iさん スタンダードコース 高校2年生
Nさん アドバンストコース 高校2年生

▶︎写真左より:Iさん、Nさん

――ターム留学しようと思った理由を教えてください。

Iさん 理由の1つは、自分を変えたかったからです。明確にこうなりたいというイメージはありませんでしたが、今の自分に満足していなかったので、変わるきっかけになればいいなと思って参加しました。もう1つは、姉からの助言です。僕は英語があまり話せなかったのですが、大学生の姉から「社会に出てからきっと必要になるので、今のうちに英語を勉強しておいた方がいいよ」と言われたので参加してみようと思いました。

Nさん 私はもともと高校で留学したいと思っていて、受験前の説明会でターム留学があると聞いたので、この学校を選びました。小さい頃から英語に興味があり、英会話教室などにも通わせてもらっていたので、ずっとコツコツと英語を学んでいます。高校生のうちに、旅行とは違う海外体験をしたいと思ったので参加しました。将来的にも英語が必要になると思うので、英語を学ぶためにもよい機会だと思います。

――ホームステイ先の家庭について教えてください。

Iさん 空港からステイ先まで移動する車の中で、現地のコーディネーターとミーティングをして、家に着いたらまず食事の時間などのルールを確認して守るように言われました。滞在先では日本人は僕だけなので最初は緊張しましたが、ホストマザーはとても優しかったです。家族は、シングルマザーと息子さん(14歳)、別のところで一人暮らしをしている娘さん(大学生)がいました。

Nさん 家族構成は、お父さん、お母さん、おばあちゃん、娘さん(12歳、8歳)、息子さん(11歳)と猫ちゃんです。12歳のシスターとは部屋が隣で、趣味なども合うので一緒にNetflixの海外ドラマを見たり、スケボーをして遊びました。生活していく中で、ホストマザーが関西に留学経験があって日本語が理解できることがわかり、ほかの家族も「いただきます」「ありがとう」などの日本語は話せました。そのせいもあり、あまり緊張せずに過ごせたと思います。食事のときは、食卓を拭く係と食洗機に食器を入れる係など、簡単なお手伝いをシスターたちと交代で、自然に役割分担の中に入っていきました。

――ホストファミリーとはどのように距離を縮めていきましたか?

Iさん 夕飯のときに僕は食べるのが遅かったので、毎回食べ終わるまでホストマザーは待っていてくれました。食べ終わるまでに学校であったことなどを聞いてくれたので、その時間に仲を深めていくことができたと思います。本当にちょっとずつですが、英語での受け答えもできるようになっていきました。途中から加わったタイ人の留学生はとても元気で、庭にバスケのゴールがあったので、毎晩「遊ぼう!」と誘ってきてくれました。

Nさん 日本ではあまり教えてもらえないようなスラングとかも使われていたので、最初は聞き間違いもあって、シスターやブラザーに笑われました(笑)。年下の子たちは、英語がクリアだったので聞き取りやすかったです。家族間の会話で使われているのを聞きながら、スラングなども理解していくことができました。両親は日本語が少しわかるので、ゆっくり話してくれるなど、配慮してくれたのもありがたかったです。学校に持っていくマイボトルをホストマザーが買っておいてくれたので、毎日持っていきました。帰国後も大切に使っています。

――現地の学校ではどのように過ごしましたか?

Nさん バディが2人付いてくれたのですが、学校に申請する書類に「韓国語を話せる」と書いたら2人とも韓国人でした。英語でわからない部分は、韓国語で話せたのでよかったです。私が通った学校には、私のほかに東京立正の生徒が2人いました。選んだ科目は、英語、数学、サイエンス、音楽、ドラマ、クッキング、体育です。サイエンスは、生物から始まって、途中から急に物理に変わりました。内容は中学か高1レベルでしたが、教科書やワークは全部英語なので、単語だけわかっても何を言っているかわからない部分もあります。友達に聞いたり、家に帰ってからひたすら翻訳して頑張りました。

Iさん 僕が通った学校は東京立正からは僕だけで、バディはいませんでした。選んだ授業は英語、数学、サイエンス、アート、音楽、体育です。たまにわかる単語があるぐらいでしたが、わからないときは同じクラスの子に付いていったり、まねをしてなんとか乗り切りました。数学は日本の中学レベルなので、問題を解くことに苦労はなかったです。

――学校に通う中で、日本との違いを感じたことはありましたか?

Nさん 日本にはない科目で、ドラマ(演劇的手法を用いた表現活動)の授業が一番大変でした。英語なので、台本を覚えるのも大変です。発表する機会があり、そのときまでにみんなで練習して動きなども覚えました。大変でしたが、日常会話が台本になっているので、台本を読んでいるうちにこの単語は使えるなとか、こんな言い回しがあるんだと知ることができて、勉強にもなりました。サイエンスの時間には、先生が急にYouTubeの画面を出して「ハカ*を踊るよ!」と言ったので驚きました。

*先住民マオリに伝わる戦いの舞い

Iさん 留学中に体育祭があったのですが、4色に分かれて競い、日本と同じような競技もありましたが応援の雰囲気が全然違っていました。

Nさん 私の学校も体育祭がありました。それぞれの組に応援歌があって、とても盛り上がります。

――友達と過ごした中で印象に残っていることを教えてください。

Iさん 僕が通った学校は留学生が多くて、日本以外にもいろいろな国の人がました。学校でもタイ人と友達になったり、いろいろな国の人と交流ができてよかったです。週末には映画館やローラースケート場、マーケットなどに行きました。

Nさん 韓国人の友達もたくさんできて、一緒にボーリング場にも行きました。ニュージーランドの人たちは車での移動が基本ですが、韓国人の子たちは車で行くようなところにも歩いていたので、とてもアクティブだと感じました。

――ニュージーランドで過ごしてみて、日本はどのように見えましたか?

Nさん 日本人の謙虚さが感じられました。ニュージーランドでは、自分の意見を前に出してくる人が多いです。他校の日本人も留学していましたが、謙虚な人が多いなと感じました。それは日本のよさでもありますが、将来海外で仕事をすると考えたら、もう少し自分の意見を言えるようになった方がいいのかなとも思います。

Iさん 日本人は大人になると落ち着いた人が多いですが、ニュージーランドは大人でも子どもみたいな人が多くて、全体的に日本人より明るく楽しんでいます。英語力については、他国からの留学生と比べて、日本人はあまり話せていないと感じました。ドイツ人の友達は、2~3年英語を勉強したと言っていましたが、ペラペラだったんです。僕たち日本人も2~3年は勉強しているはずなのに、なんで話せないんだろうと思いました。韓国人もタイ人も、みんな英語で話すのがうまかったです。

――ターム留学をして成長を感じたところはありますか?

Iさん コミュニケーション力です。行く前は、自分からバンバン話せるタイプではなかったのですが、現地では知らない人も話しかけてきてくれたので、少しずつ自分からも話せるようになりました。話しやすい雰囲気だったし、いろんな人と話してみると楽しいなと感じられたからだと思います。恥ずかしさもなくなってきたし、話してみると楽しい人が多かったので、見た目で話しかけにくいと感じても、話してみようと思えるようになりました。

Nさん 自分の意見が言いやすくなったと思います。英語に関しては、リスニング力が一番ついたと感じています。日本にいるときに聞いている英語は、ゆっくりの音声だったりしますが、現地ではすぐに返してきて話すスピードも速いです。最初は何を言っているかわからないことも多かったですが、日常生活でずっと聞いているうちにスピードにも慣れてきて、1ヶ月半ぐらいでかなり聞き取りやすくなったと感じました。

Iさん 英語力では、話す方は多少という感じですが、聞く方はだいぶ慣れたと思います。タイ人の友達は日本のことや日本のゲームが好きだったので、日本語を教えてあげたり、英語を教えてもらったりしました。あまり話せなくても、ジェスチャーなども使って思いを伝えることはできたと思います。

――帰国後、将来についてどのように考えるようになりましたか?

Nさん 海外大学に進学するか、日本の大学に進学して留学するか悩んでいます。どちらにしても、大学生のうちにもう1度海外に行きたいです。日本にいるときより、気持ちをオープンにできる感じや、遠慮しすぎなくていいところが気に入りました。3ヶ月は短いなと感じて、もっといたかったです。帰国が近づいてきたら、どうにかして帰国日を延ばせないかなと思ったりもしました(笑)。

Iさん 留学前は、英語の勉強はテストのためという感じでしたが、今は友達もできたし、もっと話せるようになりたいから英語を勉強しようという気持ちになりました。帰国後も、友達とは時々メールで連絡を取っています。メールでもっといろいろ伝えたいので、英語を勉強するのが楽しくなりました。帰国前に友達と、「また会おう!」とマオリ族の指切りげんまんで約束したので、また会いに行きたいです。僕も、このまま帰らなくてもいいかなと思いました(笑)。

<取材を終えて>
到着した日は、ニュージーランドの空港が洪水被害にあったので、急きょオーストラリアの空港に1日滞在することになったという。そのようなアクシデントも含めて様々なことを経験し、大きく成長したのだろう。「変わりたい」と思って参加したIさんが、英語を勉強することが楽しいと感じられるようになったと目をキラキラ輝かせて言っていたことがとても印象的だった。

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