私立中学

女子校

しながわえとわーるじょし

品川エトワール女子高等学校

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スクール特集(品川エトワール女子高等学校の特色のある教育 #5)

ダンスで表現力を磨き、併設幼稚園で実習! 保育の基礎を学ぶ「保育コース」始動

品川エトワール女子高等学校では、2021年度から「保育コース」がスタート。併設の幼稚園での実習やグローバル社会に対応できる保育英語など、コースの特色を紹介する。

個性を伸ばすコース制で、10年後に必要な力を身につけることを目指す品川エトワール女子高等学校。「国際キャリアコース」「マルチメディア表現コース」「ネイチャースタディコース」「キャリアデザインコース」に加え、2021年度から「保育コース」がスタート。「保育コース」の特色について、コース長の図子まりな先生に話を聞いた。

保育に必要な知識と感性を身につける「保育コース」

同校は、2021年度から保育の基礎講座や併設幼稚園での実習を通して、保育に必要な知識と感性を身につける「保育コース」が加わり、5コース制となった。「保育コース」を開設した理由の1つに、生徒たちが望む進路につなげていきたいという思いがあったと、図子先生は説明する。

「保育園や幼稚園での人材不足が社会問題となっている中で、これまでの卒業生には子ども関係の職業に就きたいという生徒が多くいました。本校には併設幼稚園もありますし、そのような夢を持つ生徒たちを集めたコースを開設できないかと考えたのです。そして2年前から準備をして、今年度から保育コースをスタートさせました。このコースには、ピアノ実習、子ども学、造形表現、ダンス、保育英語の授業が、コース専門科目としてカリキュラムに組まれています。隣接する幼稚園でたくさん実習できるというのが、大きなメリットです。私がダンス部の顧問をしていることもあり、表現力を身につけるためにダンスが重要な役割を果たすと考えています。3年次に行うダンス応用の授業では、幼稚園の運動会で踊るダンスを生徒たちが考えて、園児に教えることが目標です」(図子先生)

実習を通して、楽しみながら感性と子ども教育についての知識を養う「子ども学」は、併設幼稚園の副園長先生が授業を実施。「造形表現」の授業では、折り紙や紙芝居、絵本の読み聞かせなどの技術を身に着け、「全国高等学校家庭科保育技術検定」の取得を目指す。「保育英語」では、グローバル社会に対応できる保育士を目標に、保育の現場で使う会話表現などを学ぶという。

「2年次から始まる保育英語の授業では、英語で童謡を歌ったり、保護者とのやりとりに使う会話表現などを学びます。私の母はフィリピン人なので、保護者と先生の間で意思疎通がうまくできないのは大変そうだと、幼いながら感じていました。ですから、日本語が母語ではない保護者と必要な会話をするための表現などを学びながら、英語への興味を深めていってほしいと思っています。このコースで保育士の免許を取ることはできませんが、 子どもと接しながらいろいろなことに興味を持って、将来につなげていってほしいです」(図子先生)

▶︎コース長 図子まりな先生

「保育コース」の生徒2人にインタビュー

▶︎写真左より:図子まりな先生、Tさん、Aさん

Tさん 高1(保育コース)
Aさん 高1(保育コース)
図子まりな先生(コース長)

――この学校を志望した理由を教えてください。

Aさん 私は、中3の夏ぐらいまでエトワールの存在を知りませんでした(笑)。バスケ部の顧問の先生がエトワールのバスケ部を勧めてくれたので、何度か部活体験をしてみたのです。そこで先輩たちが優しく接してくれて、一生懸命に取り組んでいる姿を見て、かっこいいなと思って決めました。

Tさん 図子先生が顧問をしているダンス部に憧れて、受験したいと思いました。体験入部をしたときに、とても温かく迎え入れてくれて、ここなら一緒に全国を目指したい仲間と出会えるという予感がしました。ダンスは3歳ごろからやっています。ずっとプロのダンスを見てきたのですが、エトワールで見た高校生のダンスはかっこよかったです。高校生が努力を積み重ねてできあがったものを見て、プロとは違う魅力を感じました。

――保育コースを選んだ理由は?

Aさん 子ども関係の仕事に就くのが将来の夢なので、今年度から保育コースが始まると知っていいなと思いました。

Tさん もともとダンスの先生を見て、ダンスを好きになったので、小さい子にダンスを教えることにも興味があります。ダンサーになるという夢もありますが、もしダンサーになって足を怪我したら、次に何をしたいか考えたとき、保育園や幼稚園の先生になりたいと思ったので保育コースを選びました。

――保育に関する授業はどうですか?

Aさん 保育コースならではの授業たくさんあり、一つひとつ丁寧に教えてもらえるので、貴重な体験だと思います。私はピアノを習っていなかったのですが、講師の先生が高校に来て週1時間教えてくれます。教え方がとても細かく丁寧なので、初心者でも覚えやすいです。ピアノが初めてでもついていけますし、成績もよくなっています。

Tさん 「子ども学」という授業では、折り紙や壁飾りを作ります。もともと折り紙などは得意ではなく、手先もあまり器用でないので苦戦していますが、先生が優しく丁寧に教えてくれます。そのような指導のおかげで、できないことに落ち込んだりせず、みんなと楽しく学べています。 

――幼稚園での実習はどうでしたか?

Aさん 1学期は、1度だけ見学に行きました。お手洗いにみんなで行くときに、1列に並んで前の子の肩に手を置いて汽車ポッポになって行ったのが可愛かったです。思わず、「カワイイ!」と小声で言ってしまいました(笑)。みんな先生の言うことを聞いていたので、先生方の教育が行き届いているからだと感じました。

Tさん 遊ぶときは元気いっぱいでしたが、コロナの影響でお弁当は一言も話さず食べていて、小さいのにちゃんと適応していました。こんなに小さいのに、ここまでメリハリがつけられるのはすごいと思います。

――入学前は、どのような場面で小さい子と関わってきましたか?

Aさん 自分が保育園児の頃から、小さい子が好きです(笑)。年長さんぐらいのときから、年下の子をおんぶしたり、寝かしつけたりしていました。 

Tさん 親戚に年下の子が3人いるので、母たちが出かけるときに小さい子たちの面倒を見たりしていました。小さい子と一緒に遊ぶのは楽しいです。

――クラスはどのような雰囲気ですか?

Aさん 保育コースのクラスはみんな仲がよく、ほかの子を思い合っていて、1人でいる子がいません。図子先生からは、最近こんなことがあったから、あの子のことを気にかけてあげてねと言われたこともあり、先生の気遣いや視野の広さを感じました。

Tさん 絵を描くのが得意とか、話すことが好きとか、それぞれの得意分野を活かして、実習やプレゼンなどで役割分担がとてもスムーズです。一人ひとりの「個」が確立しているのに、ちゃんとまとまりがあるのでいいクラスだと思います。自分が好きなものを好きと言えて、好きなものに真っすぐなところが、保育クラスのいいところです。私はボカロ(ボーカロイド)が好きだということも、クラスで何度か熱弁しているのでみんな知っていると思います(笑)。

図子先生 みんな知っています(笑)。

Aさん 私も知ってます(笑)。私は、もっぱんクリエイターのパンナコタさんのYouTubeを見るのが好きです。もっぱんは、ただひたすらカメラの前で食べているだけなのですが、食用チョークを食べたりする、コタさんの個性的な動画にはまっています。

Tさん クラスで好きなことを語らせたら、みんなこんな感じです(笑)。

図子先生 36人の生徒たちを見ていると、みんな一生懸命で、とても楽しそうに学んでいます。周りの子のことも考えられる、本当にいいクラスです。当初は、英語と体育、特にダンスをメインにしていきたいと考えていましたが、「子ども学」の授業でもとても生き生きと活動しています。「もっと実習に行きたい!」という声も出ているので、なんとか応えてあげたいです。3年次の「ダンス応用」の授業で、幼稚園児のためにどんなダンスを創ってくれるのか期待しています。

――保育コースでの学びを踏まえて、将来はどのような分野に進みたいですか?

Aさん 小学生の頃から保育士になりたいと思っていたのですが、小4ぐらいで発達障害の弟を持ち、病院の中にある保育園の先生になりたいと思うようになりました。

Tさん 私はとにかく、小さい頃から小さい子との接点が多かったです。友達がたくさんいたので、友達の妹や弟の面倒も見ていました。その経験も活かして進学して、ダンスも続けたいです。保育士や幼稚園の先生、そしてダンサーも目指して、バランスよく頑張っていきたいと思っています。リトミック*の資格も取りたいです。
*音楽を通じて体を動かすことで、子どもの表現力を育む音楽教育法

図子先生 このコースで学ぶ生徒たちは、コミュニケーションを取るのが上手です。ですから、大きく括ると、人と関わる仕事で力を発揮できると思います。子どもに関わる仕事にしても、保育園や幼稚園だけでなく、病院や企業の中の保育所、子ども向けの習い事などたくさんあります。このコースで学んだことが、介護士などにも活かせるかもしれません。それぞれが、個性に合った活躍の場を選んでいける子たちだと思っています。

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Aさん 授業中、わからないところがあったら、手を挙げれば先生はすぐに優しく対応してくれます。部活では、先輩との距離が近いです。中学生のときは、1つ上の先輩とあまり関係がよくなくて、目も合わせられない感じでした。この学校ではそんなこともなく、さっきも部活で、ずっと先輩とおしゃべりをして笑っていました(笑)。

Tさん 私はダンス部のほかに、広報委員(フィエルテ)もやっていますが、やはり先輩との距離感がいいです。学校説明会などでの動きが複雑でわからないこともたくさんありますが、先輩が説明をしっかりしてくれて、教え方も丁寧です。施設が綺麗で、生徒ファーストな作りになっているのも魅力です。カンフォーラ(多目的ライブラリー)の中に「集中ブース」というスペースがあり、先輩が「放課後に集中して勉強できる」と言っていました。私は部活があってまだ利用できていませんが、秘密基地感があって憧れています(笑)。先生たちは、ただ甘いという感じではなく、頑張ろうという気持ちにさせてくれる優しさを感じます。生徒といい距離の取り方ができる先生が多いです。

<取材を終えて>
子どもとのコミュニケーションは大人にも活かすことができ、ダンスで表現力を身につけることも、様々な可能性につながる。保育士や幼稚園の先生以外にも、将来への道が拓けると感じられるカリキュラムだ。「ダンスが好き!」という生徒にとっては、授業でダンスが学べることも魅力的である。学校説明会では部活の体験入部も行っているので、「保育コース」に興味がある中学生は、ぜひ図子先生のダンス部を体験していただきたい。

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