
じゆうがくえん
自由学園高等科

学校詳細
建学の精神、教育理念
「真理はあなたたちを自由にする」
自由学園は1921年(大正10年)に、ジャーナリストであった羽仁もと子・吉一夫妻により創立された。キリスト教を土台とし、「思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」、「よく教育するとはよく生活させること」という理念のもと、人間教育を実践している学校だ。24時間の生活すべてを学びの場と考えている。
私たち一人一人は、「いのち」と「意志の自由」を与えられた、この世界にたった一人しかいないかけがえのない存在であるという思想のもと、毎日の生活を通じ、このいのちと自由を使って、どのように自分らしく、主体的に生きていくかを学んでいく。
これを自分のためだけに使えば利己的な生き方になり、人間中心に使えば自然や他の生命を傷つけてしまう危険性もある。その危険性を排除し、よい生き方を選択するためには、何が「よい」ことであるかを自ら問い、与えられた自由をどのように使えばよいのか、自ら考え、判断し、行動する力が必要だと考えている。
自由学園の校名は、新約聖書の一節「真理はあなたたちを自由にする」に由来する。どのような時代にあっても変わることのない「真理」を求め、よく生きる人を、自由学園では「真の自由人」と呼んでいる。
教育の特色
2022年度より単位制を導入
教育方針として揚げているのは「生活即教育」。教室内での学びだけでなく、自然豊かなキャンパスや生活そのものからの学びも大切にしている。学校生活のすべてを生徒たちが管理運営しており、「自分たちの学校」=「自分たちの社会」という意識を大切にしている。
また2022年度の入学生より単位制をスタートさせた。1年生のあいだに、卒業までに修得すべき必修単位を集中して修得し、2年生からは自分の学びたい分野の授業が選べるようになるシステムだ。生徒それぞれが、学びたい分野で目指す未来を明確に意識した学習を行うとともに、今、興味があるものにより多くの時間を費やすことができるようになった。
また2年生の後期から週1日学外の企業や団体で学ぶ「高校生インターンシップ」、カンボジアとデンマークへの「海外研修旅行」、フィンランド・イギリス・アメリカへの「短期交換留学」、最大1年間、自分で選んだ留学先での学びが単位認定される「留学支援制度」など、学校の外で、世界をキャンパスとして学べる制度が充実している。
施設設備
10万㎡のキャンパスに歴史的建造物の校舎
10万㎡の自然と文化あふれるキャンパスに自由学園の幼児生活団(幼稚園)、初等部、中等科、高等科、最高学部(大学部)がともに学ぶ。美しい校舎群は、その多くが20世紀の世界的な建築家、フランク・ロイド・ライトの弟子である日本人建築家により昭和初期に建てられたものであり、一部は東京都指定文化財に登録されている。24年度の共学化に向けて設計事務所シーラカンスK&H(代表 工藤和美・堀場弘)と生徒・教職員による改修プロジェクトが組織され、中等科キャンパスの中心に立つラーニングコモンズは4年をかけて改修された。また現在は高等科キャンパスの改修が進められている。校外施設として重要文化財に登録されている自由学園明日館(東京都)、植林地(埼玉県)、那須農場(栃木県)を所有しており、改修校舎にも植林地の間伐材や校内の伐採樹木が多く使われている。
学校行事
学びの共有を大切に、アクティビティーも充実
1年間の学習や探求活動の成果を3学期に発表する「学びの共有会」は一大イベントになる。また「体操会」や「クリスマス礼拝」などの独自の行事は幼稚園から大学部までが一堂に会して行われる。
そのほかにも、自然と触れ合うこと、仲間と一から創り上げ、成し遂げることを大切にしてさまざまな活動を行なっている。行事の立案から運営まで生徒が関わらないことは無く、文化祭や運動会など、もともと予定されていなくても生徒が企画して実施に至る行事が数多くある。
部活動
「部活動」の枠にとらわれない豊かで活発な課外活動
近年東京都選抜を輩出しているアメリカンフットボール部など運動部が盛ん。自由学園高等科の課外活動の特徴は「兼部ができること」「自由に様々な活動ができること」にある。複数の運動部を掛け持ちしたり、文化部と運動部を掛け持ちしたりする生徒も多い。また、美術の教員に個人的にレクチャーを受けたり、野球愛好会を立ち上げたり、民間企業にプログラミングを教わるなど、部活動以外にも希望すれば主体的に放課後の活動をデザインできる。
学校での学びの発展として課外活動でソーシャルアクションに取り組む生徒も多くおり、子ども食堂の運営プロジェクト、リジェネラティブ農業に挑戦するグループ、性の自分らしさを考える会(2017年度マイプロジェクトアワード全国優秀賞)、学校林の木材を加工して製品化するチーム(脱炭素チャレンジカップ2020文部科学大臣賞)、路上生活者の支援活動(ボランティアスピリットアワード2021文部科学大臣賞)など、その活動は多岐にわたっている。
進路指導
一貫校の強みを生かし、一人ひとりに寄り添った「進路支援」
高等科での進路選択は多岐にわたっており、併設する最高学部(大学部)への進学者が約25%、国内外問わず他大学への進学者が約60%、専門学校、留学、就職などを選択する生徒が約15%となっている。
大学部(最高学部)は、独自の高等教育機関として、70年以上の実績を持つ。大学として認可されていないため学士は取得できないが、大学院や企業からは大学と遜色ない教育機関として評価されており、大学院進学や就職の門戸は大学と全く同じように開かれている。
大学進学を希望する生徒には、指定校推薦制度が用意されているほか、多くの生徒は総合型選抜や公募推薦制度を利用している。学校での豊かな学習経験とそのなかで培った表現力、確かな学びへの意欲を強みに、じつに様々な大学に進学している。
同校では進学先を難易度や合格可能性で測らず、一定の水準(例えばGMARCHを目指させる、など)も設けていない。その代わりに、生徒がどのようにしたら幸せな人生を歩めるか、その生徒の持ち味は何か、を捉えて、一人ひとりに寄り添った進路支援を行なっている。
その他
日本中、そして世界各地からも生徒が集う「寮」
自由学園には創立以来、女子寮「清風寮」と男子寮「東天寮」が設置されており、
全校生徒の半数近くが中高一貫で寮生活を営んでいる。
国内は北海道から九州まで、また世界各地(イギリス、フランス、アメリカ、インド、中国、韓国、タイ、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドなど)から帰国生や留学生も受け入れており、年齢だけでなくルーツや国籍も異なる共同生活は多様性の視座を育む。
寮での生活は6~8名の大部屋で、食事も全員で揃っていただき、なにか問題があれば寮生全員でとことん話し合う。安全管理のために夜勤スタッフが配備されているが、寮の方針を決めたり毎日の生活を運営したりするのは全て生徒たちの手によって行なわれている。選挙で選出された高3の寮長や各種委員会による自治組織が整備されていて、単に生活する場というよりも、責任感や主体性、そして一生の友と出会える、かけがえのない学びの空間になっている。
(土日は外出・外泊が可能、長期休みは閉寮する。また近郊在住でも定員に空きがあれば入寮することができる。)
制服
生徒たちが決める制服
2024年度の共学化を機に、どのようなデザインにするか、どういう着方をするかなどについて、生徒たちが話し合いを続けている。