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立川女子高等学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(立川女子高等学校の特色のある教育 #7)

次の100年を見据え、今こそ女子に特化した教育で「百花を育てる、立川女子。」

2025年に創立100周年を迎える立川女子高等学校。全教職員で再認識した同校の価値、生徒が語る同校の魅力とは?

創立100周年記念プロジェクトで決定した「百花を育てる、立川女子。」というコミュニケーションワードは、多様な個性(百花)を花ひらかせる立川女子の学びと、生徒一人ひとりに合った進路や生き方を尊重する学校の在り方を表現している。次の100年に向けた指針や同校の魅力について、加幡英雄理事長と記念事業に携わっている高3の生徒に話を聞いた。

時代に適応しつつも100年前と変わらぬ思い

1925年に「良妻賢母の養成」を教育方針として開校した立川女子高等学校は、2025年に100周年を迎える。多摩地区で最も歴史のある女子高校であり、これまでに卒業した生徒は2万5千人を超えるという。

「100年経った今、これからの100年に向けて、本校の価値を明確にしておかなければならないと考えました。そこで、本校にはどのような価値があり、これから先どのようにしていきたいかについて、全教職員で1年間かけてじっくりと話し合ってもらったのです。話し合った結果、進学校や共学校にしたいという考えはなく、子どもたちを第一に考えて、一人ひとりの個性を大切にした学校にしていきたいということでした。つまり、100年前と同じ思いだったのです。違っているのは、女性の活躍する場所が100年前とは違うということです。当時の社会では、女性にとっての目標は良妻賢母が一般的でした。しかし今は選択肢がたくさんあり、百の花があれば、花の咲き方もそれぞれです。いい奥さんやいいお母さんになりたい人もいれば、ずっとキャリアウーマンとして活躍したい人もいます。子どもを作らないのもその人の生き方です。ですから、どんな生き方をしても、その人の個性を活かせる素地を作ることが本校の役割だということを改めて認識しました」(加幡理事長)

次の100年に向けた指針を策定するために、全教職員を対象としたワークショップを実施したことは、そのプロセスにも意味があったと加幡理事長は振り返る。

「本校の教職員は皆、とても優秀です。今回、100周年を機にワークショップを実施したことにより、これまで以上に教職員間でのコミュニケーションが取れました。一人ひとりの優秀さがグループの力として発揮できるように、よいバランスで組織力が高まったと実感しています。本校では、東大へ入りたい、お裁縫を学んでいい奥さんになりたい、早く就職したいなど、どんな目標を持った人にも入学してほしいと思っています。もちろん、定員があるので全員を入学させるわけにはいきませんが、勉強が苦手な人がいても、東大に行きたい人がいてもいいのです。その分教員は大変だと思いますが、だからこそやり甲斐や面白さがあるのだと思います」(加幡理事長)

100周年記念のビジョンマークとともに書かれている「百花を育てる、立川女子。」というコミュニケーションワードには、「育つ」のではなく「育てる」のだという校長の強い思いが込められているという。

「本校のような進路多様校の場合、それぞれの進路に合った進路指導が必要になります。しかし、進路多様校といっても、無理に多様にするつもりはありません。9割が大学に進学したり、就職がゼロの年があってもよいのです。大切なのは、一人ひとりの進路希望をきちんと聞いて、希望の進路を選んだ結果として送り出すことなのです。本校の教員は生徒に真摯に向き合ってくれていますが、教員だけに負担をかけるのも限界があります。そこで教員をサポートし、生徒一人ひとりの進路について適切な対応をするために、国家資格を持つキャリアコンサルタントを雇用し、キャリアデザインルームに配置しています。『やりたいことがわからない』『どの学部を選べばよいのかわからない』『自分の長所がわからない』といった不安をキャリアコンサルタントに相談できる場を用意し、百花の開花を支援しています」(加幡理事長)

▶︎加幡英雄理事長

今求められているのは「女子に特化した教育」

共学化する学校が増えている中で、今こそ女子に特化した教育で女性活躍社会の担い手を育てることが同校の責務だと、加幡理事長は語る。

「女子だけの学校生活だからこそ、潜在能力を開花させることができます。共学だと異性の目が気になって、本来の力を発揮できないことも多いのです。例えば生徒会長を決めるときも、男子の前で出しゃばるのはよくないと思ったり、遠慮してしまうこともあるでしょう。しかし女子校の場合は、女子の誰かがやらざるを得ないのです。もちろん、卒業して社会に出れば男性もいますが、女子だけの環境で活躍するとそれが自信につながります。成功体験を積み重ねたことが、社会で活躍できる力になるのです。本校にいる女子校出身の教員は皆、もう一度戻れるとしてもまた女子校に入りたいと言っています。日本ではまだ、女性の総理大臣は誕生していません。男女関係なく、求められる優秀な人が総理大臣になり、女性活躍社会などと言われなくていい時代になったら、女子校でなくてもよいでしょう。しかし、今はまだそうではありません。女子校は、自分の力を開花させて社会に出て行くためのステップなのです。息子を持つ保護者から、立川女子の教育を自分の息子にも受けさせたいと言われるような学校を目指したいと思っています」(加幡理事長)

近年は学校説明会でも、保護者から同校への期待の高さが感じられるようになったという。

「説明会に参加される保護者の中で、お父さんの割合も増えてきています。娘を預ける学校を自分の目で見たいと、会社を休んで平日に来てくださっているのです。校長や教頭だけでなく、若手の教員が説明したり、生徒たちが生徒目線で学校のいいところを語ることで、本校の魅力を保護者の皆さんにも感じとっていただけるようになった結果だと思います。私は、家庭で、地域で、日本で、そして世界で、それぞれの場所で活躍する人を輩出したいと考えています。それは決して、夢物語ではないと思っています。本校は、それぞれが抱く夢を実現させることを第一に考える学校です。入ってきた生徒たちが、楽しかった、いい学校だった、自分の子どもも入学させたいと思える学校にしたいですし、そのような思いが持てる学校だと思って入学してきてほしいです」(加幡理事長)

高3の生徒にインタビュー

100周年記念事業の一環として、生徒目線で記念情報誌の制作に携わっているメンバーの中から高3の生徒2人に話を聞いた。

Fさん 高3
Iさん 高3

▶︎写真左より:Fさん、Iさん

――記念情報誌の制作に参加しようと思った理由を教えてください。

Fさん 100周年は来年なので私は卒業してしまっていますが、少しでも私が関わったことが形に残ればいいなと思って参加しました。

Iさん 100周年という節目の時期に在学していたので、今の立川女子のよさを情報誌に残すことで将来につなげられたらいいなと思って挑戦してみました。

――記念情報誌ではどのようなページを担当していますか?

Fさん 私は卒業生へのインタビューを担当していて、教員になって立川女子に戻ってきた卒業生にインタビューしました。先生が生徒だった頃のカリキュラムが今とは違っていたり、体育の授業で着るジャージも違っていたそうです。当時も教えていて、今私たちも教えてもらっている先生方の話など、今とは変わらない部分と違っている部分などをいろいろと聞くことができました。

Iさん 私は校長先生のインタビューを担当しています。校長先生が37年前に先生として立川女子に入職した頃の雰囲気や、制服が違っていたことなどを聞きました。他の人は、生徒から見た立川市のおすすめ店を取材したり、100年前の立川市には何があったかなどを図書館で調べたりしています。

――この学校の一番好きなところを教えてください。

Fさん 毎日学校に来て友達に会えることが楽しみで、部活も楽しく活動できるのは、この学校に来たからだと思っています。私は話すことが好きなので、1年生の頃から参加しているTGSA*の活動もとても楽しくて、それも立川女子が好きな理由の1つです。

Iさん 私もTGSAに参加しています。もともとは、人前に出るのがあまり得意ではなかったのですが、TGSAの活動を通して他学年の友達もできたので、TGSAの活動が好きです。体育祭ではクラス全員で団結して盛り上がれるところも、立川女子の魅力だと思います。

*「TGSA (Tachikawa Girls Student Assistant)」は、学校説明会に参加した中学生や保護者の案内などを担当する課外活動。

――受験生のとき、この学校を受験しようと思った理由を教えてください。

Fさん オープンキャンパスに参加して、TGSAの活動が楽しそうだったことや、制服がかわいいなと思ったことなど、いろいろな魅力があったので受験しました。

Iさん 私も説明会でTGSAの先輩に案内されて、自分もこのような活動をしてみたいと思ったことと、制服がかわいかったことも理由の1つです。Sプロジェクト*に「英検準2級対策講座」があったので、それも受講したいと思って受験しました。英語が好きなのですが、英検などの試験となるとなかなかやる気が出ません。この講座を受けて、無事に合格できたのでよかったです。 

*同校の周辺にある多数の専門学校や大学との連携により、1年次から3年次まで希望制で受講することができる土曜日の特別講座。

――受験生のときに案内してもらったTGSAの校内ツアーで印象に残っていることを教えてください。

Fさん 作法室は70畳の広さがあるのですが、「何畳でしょう?」とクイズを出してくれて、「そんなに広いんだ!」と思ったことと、クイズを出してくれて楽しいなと思ったことが印象に残っています。

Iさん 楽しかったことしか覚えていませんが(笑)、他の学校ではこのような校内ツアーはなかったので、見学した中で一番楽しかったです。

――TGSAとして受験生を案内する側として、工夫したことや印象に残っていることありますか?

Fさん 私が受験生のときに楽しかったので、私もクイズ形式で説明したり、自分が所属している部活のよいところや生徒だからこそ感じる学校の魅力なども伝えるようにしています。例えば食堂の説明では、私自身が食べて美味しかったメニューや、友達がおすすめしていたものなど、食べた人にしかわからない情報も盛り込んでいます。

Iさん 校内ツアー中に受験生から質問されて答えるうちに、お互いに意気投合して笑いながらツアーをしたことがありました。受験生は緊張しながら参加していることが多いので、リラックスして立川女子の魅力を伝えることができた思い出深いツアーの1つです。

――部活動について教えてください。

Fさん 私は演劇部に所属していました。演劇部の大会は、地区大会や都大会を経て、翌年の夏に全国大会が行われるので、時間をかけて作品を作ることになります。1年生のときに「あのこをさがして」という作品で都大会に出場して、2年生の夏に行われた全国大会に出場することができました。全国約2000校の中から、12校だけが出場できる大会です。自信のなさや負けたくない気持ちなど、様々な葛藤もありましたが、審査員や他校の方に「よかったよ」と言っていただけて報われました。

Iさん 私はバドミントン部に所属していて、部長をしていました。今まであまり勝てなかったのですが、引退試合では第3試合まで進むことができて、最後の最後にいい思い出できました。

――将来については、どのように考えていますか?

Fさん 1年生の頃は看護師になりたと思っていたので、Sプロジェクトでは「看護医療系入試対策講座(看護医療系数学・英語)」を受講しました。数学に関しては、この講座を受けて初めて成績で5が取れたので、受験に必要なことだけでなく、基礎から教えてもらったことが苦手克服につながったのだと思います。ただ、私はいろいろなことに興味を持つタイプなので(笑)、3年生になったら経済や法学などの社会系へと興味が移ってきました。職業についてはまだ決めていないのですが、おしゃべりするのが大好きなので、TGSAのような仕事ができたらいいなと思ったりもしています。オープンキャンパスに参加したりして、いろいろ考えているところです。

Iさん 私は英語が好きなので、大学に進学して英語の教員免許を取りたいと思っています。小学生のときは英語が大嫌いだったのですが、中・高になるにつれて面白いと思うようになったんです。中学生の頃は他の教科よりは面白いと感じられるようになりましたが、成績はあまり伸びませんでした。成績が上がったのは、立川女子に入ってからです。英語の先生と授業以外の時間にたわいもない話をする中で、英語についても質問してみたら、どんどんわかるようになって楽しくなってきて、楽しくなったら100点を取りたいと思うようになって成績も上がりました。

――受験生へメッセージをお願いします。

Fさん TGSAで校内を案内していると、「女子校って怖いですか?」とよく聞かれます(笑)。共学とそれほど違うとは思いませんし、どちらかというと共学より女子同士は仲がいいと感じています。例えば、中学のときは休みがちで、クラスのみんなとあまり話さなかったけれど、立川女子に入ったら話せるようになって、どんどん明るくなって、新しい一面を知ることができた友達もいます。たくさん友達ができて楽しくなったから、立川女子に来てよかったと言っていました。先生方もフレンドリーに話しかけてくれるので、学校に行くのがいやだと感じることが全くありません。部活や学校生活、委員会もこの学校だからこそ楽しくて、毎日笑顔で「明日も学校だ!」と思えます。

Iさん 私は中学校からの友達が0人状態で高校生活をスタートさせました。知っている人が誰もいない状態でしたが、体育祭や合唱祭などの行事を通して、クラスが違う友達もたくさんできて、委員会の委員長や部活の部長を経験したり、TGSAではそれまで話したことがなかった先生からも声をかけてもらったり、みんなフレンドリーでいい学校だと思います。私も「明日も学校だ!」と、楽しい気持ちで毎日通えています。

<取材を終えて>
100周年の記念情報誌は2025年4月の完成を目指しており、生徒や卒業生などの学校関係者をはじめ、2025年度に開催される学校説明会でも配布される予定だという。記念事業の一環として、写真を使ったモザイクアートを制作している生徒もいる。今回インタビューした2人のように、立川女子が大好きだという生徒たちによる情報誌やモザイクアート作品の完成が楽しみだ。

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