スクール特集(目黒日本大学高等学校の特色のある教育 #1)
「特進」「N進学」クラスを編成し、 目黒日大として新たに始動
2019年4月、日出高等学校から日本大学の準付属校として生まれ変わった目黒日本大学高等学校。新しく設置したクラスの特徴や、教育活動について取材した。
2019年4月より、日出高等学校は、日本大学の準付属校・目黒日大高等学校として新たなスタートを切った。これを機に「進学コース」と「スポーツ・芸能コース」の2つのコースをつくり、進学コースには「特進」と「N(日本大学)進学」の2種類のクラスを設置。今回は進学コースに焦点をあて、それぞれのクラスの特徴や、力を入れている教育活動について、広報部長の天野正貴先生に話を聞いた。
特進クラスは英語教育を特化 国公立、難関私大進学の学力を養う
今春、目黒日本大学高等学校は、特進クラス2、N進学クラス6、スポーツクラス1、芸能クラス1の計10クラスで新入生を迎えた。新しく設置した特進クラスは、国公立や難関私立大学、医歯薬系大学の進学を目指すクラス。どのような教育を行っているのだろうか。
「一番の特徴は、英語教育を特化していることです。具体的には、ネイティブの教師が朝のホームルームを行うほか、オンラインによる英会話レッスン、英語を使って体育や音楽、情報の授業をするイマージョン教育などに取り組んでいます」と天野先生。
同校では、生徒が各自iPadを所有し、その日の連絡事項は前日の夜までに教員がアップしているため、朝の15分は小テストや読書などに充てられている。「英語のホームルームも、聞き取れなかったことはiPadで確認することができます。Wi-Fiの環境も整備していますので、フィリピンのスタッフとのオンライン英会話もクラス一斉に行うことができます」。このようにICTの活用や、イマージョンの授業などを通じて、できるだけ多く英語に触れる機会を作っている。
さらに、3か月、6か月、1年の海外留学プログラムも用意。前身の日出高校には国際コースがあり「その時に培った英語教育のノウハウを特進クラスに落とし込み、進化させている」と天野先生は話す。
その他、特進クラスでは、7限目を特別授業に設定し、生徒たちは自分の必要な学びを選択。放課後は、「学習支援センター」を活用した個別学習も行っている。また、担任が定期的に面談をして、模擬試験や定期試験などを分析しながら、細やかに進路指導を実施。ちなみに大学受験の際は、日本大学と国公立大学(前期日程まで)の併願が可能で、出願エントリーも高3の10月まで対応している。
▶︎広報部長 天野正貴先生
部活動、課外活動と両立しながら 日本大学進学を目指すN進学クラス
N進学クラスは、部活動や課外活動に励み、全員が日本大学進学を目指すクラス。内部進学をするには、日大付属生用の内部進学試験「基礎学力到達度テスト」(3年間で計4回)を受験し、(A)基礎学力選抜方式と(B)付属特別選抜方式の2つのパターンで推薦を受ける。(A)は、テスト上位者から希望学部を選択(第3希望までエントリー可能)する。(B)は、各学部、学科が示す基準を満たす生徒、学校長の推薦を得られる生徒が対象となる。
「N進学クラスは、日本大学の推薦合格を目標にしているので、基礎学力到達度テストに対応したカリキュラムを設定しています。また、補習や、夏期・冬期講習などを実施し、日本大学へ進学するための学力を、学校内でしっかりと養っていきます」と天野先生。
「それと同時に、N進学クラスの生徒には、学校行事や部活動、委員会活動、課外活動などにおいて、リーダー的な役割を担ってほしいと思っています。特に体育祭や文化祭などの行事は、生徒が主体となって創り上げているので、積極的に関わってほしいですね。また、本校は、“プラス1”という活動を実践しています。これは、『学校生活に何かプラス1つ、取り組んでみよう!』というもので、目黒区の祭でエコ活動としてゴミの仕分けをしたり、学校説明会の運営に参加したり、学校周りの園芸を手がけたりと、生徒が自ら手を挙げて行っています」
IP教育(探究学習)を実践し、 主体性や創造力、表現力を育成する
クラスを超えて、同校が力を注いでいるのが、IP(Inquiry Program)教育(探究学習)だ。「AIが進化し、これからの社会は、自ら創造する力や伝える力などが必要とされます。IPは、正解のない課題について生徒たちが協働して探究し、答えを導いていくという学習です。たとえば、企業とのコラボで『10年後の未来、世界で活躍する若者がJALに乗りたくなる、航空会社の新しいサービスを企画提案する』という指令に対して、グループで話し合い、出されたアイディアを繰り返し検証して、最後に企画案をプレゼンテーションします」
同校は、1年生で企業訪問、2年生は自分の進路と絡めて、個別ゼミを実施。いずれも生徒主導でリサーチやフィールドワークなどを行い、活動についてまとめた論文を発表する。また、通常の授業においても、アクティブラーニングを導入し、生徒たちの主体的かつ協働的な学びを推進している。
自主性を重んじる教育は、選択制の修学旅行にも反映されている。まず、1年次に 1.アメリカ合衆国(ハワイ島)、2.オーストラリア(ケアンズ)、3.マレーシア・シンガポール、4.ドイツ・ポーランド、5.カナダ(バンクーバー)の中から、旅行先の希望調査を実施。それから約1年間かけて、各リーダーたちが「現地で何をしたいのか」「何を調べたいのか」、意見を出し合い、教員と旅行業者と共に行程を協議。「たとえば、ハワイ島ではキラウエア火山、ドイツ・ポーランドではアウシュヴィッツや岩塩の鉱山でフィールドワークをするなど、生徒が企画を出すのです。そして、事前学習を行い、旅行後は学習の成果をプレゼンします。まさに、探究学習型の修学旅行となっています」
目黒日大1期生にインタビュー
目黒日大として、新たな一歩を踏み出した同校。新1年生は、どのような思いを抱いて入学し、今現在、どのような学校生活を送っているのだろうか。2人の生徒に話を聞いてみた。
Yくん N進学クラス 1年生
Sさん 特進クラス 1年生
Qこの学校を志望した理由は?
Yくん 中3の夏休みに説明会に参加し、サッカーの部活体験もしました。在校生がとてもはきはきとしていて、生徒主体の学校であることに興味をもちました。部活も楽しそうだし、この学校で勉強も部活もがんばりたいと受験を決めました。
Sさん 私は小さい頃から英語が好きで、目黒日大は英語のホームルームがあったり、オンライン英会話、海外留学があったりと英語教育が充実しているのが魅力でした。
▶︎Yくん
Q学校生活はどうですか?
Yくん 小テストが多く、思っていたより勉強と部活の両立が大変です。先生から「英単語は、通学の電車内で覚えよう」などとアドバイスを受け、時間を有効に使う努力をしています。サッカー部は、いい意味で先輩との距離が近く、練習も楽しいです。
Sさん 特進クラスは授業の進度が速く、復習が大変ですが、学習支援センターを利用して自習をしています。数学がちょっと苦手なので、個別授業を入れて先生の指導を受けています。
▶︎Sさん
Qこの学校でやってみたいことは?
Yくん 今、体育祭の委員をしていて、応援団の団旗も作っています。その他の行事にも積極的に参加したいです。
Sさん 先日、この学校に進学する目的の1つだった、ケンブリッジ大学のサマー・プログラム※の試験に受かりました。夏休みに行くのですが、今からとても楽しみです。これから頑張りたいのは、学習支援センターをもっと活用することです。今は、自分がやりたい学習ばかりやっているので、バランスよく全教科のプリントを利用していきたいです。
※全国の日本大学付属高校生を対象に、年に2回、ケンブリッジ大学で約2週間の研修が実施され、各学校から1~3名、参加できる。
Q進路の目標、将来の夢を教えてください。
Yくん 大学で教職の勉強をして、体育か英語の先生になりたいです。できれば、この学校で教えたいです。
Sさん 国公立の大学に進学して、英語をもっと勉強したいです。将来は、英語を使う仕事に就きたいです。
<取材を終えて>
日本大学の準付属校として再始動した同校だが、特化した英語教育や、IP教育、アクティブラーニングといった21世紀型の教育は、日出高等学校の時から既に取り組み、ノウハウを蓄積している。他校の教員が、授業の見学、研究に訪れることも多いそうだ。進学に関しては、日本大学への内部進学や推薦枠が拡大し、そのために必要な学力も学校内で養成。特進クラスは、さらに難関の大学を目指すための学習及び進路指導を徹底している。受験の際、日本大学と国公立大学を併願できるのも大きい。
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