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スクール特集(正則高等学校の特色のある教育 #8)

生徒が仮説を立て検証する世界史の授業。物事を多角的に考える力を育成!

正則高等学校の世界史の授業では、問いに対して生徒が仮説を立て、検証するというユニークな学習を展開している。その目的や効果などについて、担当教諭と生徒たちに話を聞いた。

生徒が目的意識を持って主体的に学ぶ授業

同校は2年次より、日本史、世界史、政治経済を、社会・公民の選択科目としてカリキュラムに設定している。その中の世界史を担当している松延瑛介先生は、教科書に沿ったテーマで問いを作り、生徒自らが答えを考え、検証するという授業を行っている。

「2年生の授業は古代文明から始まるのですが、生徒たちに話を聞くと、『中学校で四大文明を習いました』と言います。その一方で彼らは、マヤやアステカなどの古代アメリカ文明も知っています。そこで、『なぜ、古代アメリカ文明は四大文明に入らなかったのか。何が違うのだろう?』と、問いかけてみる。生徒たちはそれぞれの文明について、教材やiPadなどを使って調べ、仮説を立て、意見交換をします」と、松延先生は具体例を話す。

「設定するテーマは、生徒が『なんでだろう?』と興味を持つものにしています。前段の知識が必要な難しいテーマは、追求しようという意欲が湧かないですからね。ですので、みんなが知っている四大文明を取り上げ、より深く学びたいと思える授業を心がけています」

授業を作る際、松延先生は、「問いに対して彼らが持っている教材が、どこまで太刀打ちできるかを考え、それにプラスαの知識を提供するようにしています」と言う。「また、自分自身もその歴史について、『なんでかな?』と気になったことを心に留め、『生徒も関心を持って考えそうだ』と思う問いを投げかけています」

こうした学習スタイルについて、「こちらが一方的に教科書の内容を教えるよりも、生徒自らが目的意識を持って学ぶほうが、彼らの中に残っていくのではないでしょうか」と、松延先生は言う。
そして、授業後は、授業日直がその日の学習の記録を書いて提出する。「授業日誌」のやり取りをすることで、生徒の感想や歴史に関する認識を共有しているという。

▶︎松延瑛介先生

世界史を選択している高校2年生にインタビュー

世界史を学んでいる3人の高2生に、授業の感想や世界史の面白さなどを聞いてみた。

―最初に、世界史を選択した理由を教えてください。

Tさん 中学校で歴史を学んでいる時から、勉強が楽しく成績も良かった。日本史よりも世界史のほうが好きだったので、高校に入学する前から世界史をとろうと決めていました。

MNさん 小学校の低学年から日本の戦国時代に興味があり、中学校で世界史に触れたものの、日本史ばかり勉強していました。高校に上がり、日本史を掘り下げて学ぶことも考えましたが、今後も歴史を学んでいくなら世界にも目を向け、知識を増やしたほうがよいと考え、世界史を選択しました。

MJさん 世界史はいろいろなジャンルが学べそうだと思いました。日本史は日本の国だけなので、途中で興味がなくなったら困るけれど、世界史はある国の歴史に興味がなくても、違う国の歴史が学べます。また、自分の好きなゲームに世界史が出てくるのも、選んだ理由の1つです。

▶︎Tさん

―どんな授業が印象に残っていますか?

Tさん 古代アメリカ文明が、四大文明に入っていないというテーマの授業です。前から個人的にも気になって調べていましたが、専門的な本を読むところまではしていなかったので、先生が詳しい本を提示してくれたことが印象に残っています。その時の授業で自分は、川の位置など地理的な要因があるのでは?という仮説を立て、同じような説を考えているグループで話し合いをしました。最後に先生が有力な説をいくつか紹介し、ずっと抱えていた疑問を解消することができました。

MNさん 古代の宗教の単元で、「仏教はなぜインドで衰退してしまったのか」という問いについて話し合ったのが面白かったです。自分も中学生の時から、「インドで誕生した仏教はアジアに広まっていったのに、今、インドのほとんどの人がヒンドゥー教なのはどうしてだろう?」と気になっていました。でも、調べることはしていなかったので、考えるいいきっかけになりました。要因の1つに、仏教の教えをヒンドゥー教が取り込んでいったことがあるようです。

MJさん 古代中国の学習の中で、「匈奴(きょうど)」が出てくるのですが、匈奴という言葉自体、相手を馬鹿にした意味が含まれていて、その名称がふさわしいかどうか、というテーマで話し合いをしました。その時に、中国側と匈奴側に分かれてグループを作り、先生がそれぞれのグループに違う資料を配りました。中国側の資料には、匈奴は悪いということが書かれ、もう一方は、匈奴は中国に残酷なことをしているが、匈奴にとっては常識の範囲だったと書かれている。先生がいろいろな角度から歴史を見た方がよいと話していたことが、印象的でした。

▶︎MNさん

—世界史の学びが身になっていることはありますか?

Tさん 違う視点から物事を見ることの大事さを知りました。これは歴史の学習だけでなく、たとえばクラスで何かを決める時も、立場が違えば意見も変わり、それぞれの意見を聞くことが大切です。世界史を学んでいると、人間の考え方とか重要なことがいっぱい出てきて、それを自分のものにしていけるのがいいなと思っています。

MNさん 自分も、立場を変えて考える大切さを世界史の授業で学びました。いろいろな見方があるというのは、奥が深いからであって、あらためて歴史は面白いと感じ、勉強もやりがいがあります。また、史実をただ暗記するのではなく、その背景や理由を知ることで、記憶の定着につながります。自分で考えていくことが、今後の学びにも生きていくのかなと思っています。

MJさん 世界史を学習していると、世界のさまざまな場所で、いろいろな国の治め方があったことがわかります。国の中央集権が強すぎると反発が生まれ、反対に野放しだと、人民が一致団結して反乱を起こしてしまう。この国家を1つに治める難しさは、今も変わらないように思います。昔の考え方が現代にも当てはまり、役に立つこともあることに気づきました。

▶︎MJさん

歴史を学ぶことが現代の価値観を見定める礎に

世界史の面白さについて、松延先生は、「相対的に日本や自分を見られること」と言う。「先ほど、MJくんが中央集権と地方分権のどちらが治めやすいか、ということを話していました。これは絶えず中国のテーマではあるけれど、日本においても沖縄の問題など、簡単にいかないものがたくさんあります。また、ヒンドゥー教がいろいろなものを取り込み、それがインドの特異性だと言われていますが、日本でもクリスマスを祝い、初詣やお盆の行事も大事にしている。似たような要素があると距離も近まり、『日本はどうだったのか』『自分たちはどうしてこれを選び取っているのか』と、考えるよいきっかけになりますね。

そして、歴史を学ぶことは現代の生き方につながります。今、世の中にある価値観は、過去の歴史があって作られたものです。その歴史をどう解釈するかが、現代社会を生きていく上での価値観を見出す大事なポイントになると考えています」

最後に、松延先生は授業を通じて、「歴史の通説を鵜呑みにするのではなく、自分で説を検証して組み立てていく態度を身につけてほしい」と語る。「それは今の時代にも通じることで、なんとなく当たり前に思われていることや、さまざまな情報をそのまま受け入れず、深く考えることを大切にしてほしいと願っています」

<取材を終えて>
歴史は暗記科目とされがちだが、このような授業スタイルで学べば、知識の定着だけでなく、物事を多角的に見たり分析する力が身につくことがわかった。そして何より暗記するよりも楽しく学べるのがよい。また、世界史を学ぶことで日本や、ひいては今の自分たちを客観視することができ、過去の歴史が現代にも通じていることをあらためて考えさせられた。

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