スクール特集(正則高等学校の特色のある教育 #2)
学校行事を通じて培うリーダーシップと生きる力
「学力をつける」ことを中心軸に、クラブや委員会活動、行事、体験学習などを通して、「社会で生きる力」を育む教育を実践している正則高等学校。今回は生徒会活動をピックアップし、リーダーを務める3年生にインタビューをしました。
日々の学習と並行して、生徒会や委員会活動、学校行事、部活動に熱心に取り組んでいる正則高等学校の生徒たち。自ら主体となって活動することで、リーダーシップやコミュニケーション力、協調性など、様々な力を身につけています。今回は、生徒会中央委員長、体育祭実行委員長、学院祭(文化祭)実行委員長の3人の生徒に、それぞれの活動の内容や、自身が成長を感じたことなどを語ってもらいました。
Mさん 生徒会中央委員長(現在は主事)アメリカンフットボール部マネージャー
Nさん 体育祭実行委員長 写真部部長
Hくん 学院祭実行委員長 前生徒会中央委員
Q 生徒会中央委員会、行事の実行委員会に入った理由、また、リーダーになった経緯とは?
Mさん 1年でクラス委員をやることになり、その時、生徒会の先輩たちが前に立って話をしたり、企画を考えて実行する姿を見てかっこいいなと感じました。また、その年にコート改革(生徒会からの提案で、指定以外のコートの着用が認可される)があって、生徒の力で校則が変えられことに感銘を受けました。そうしていたら、当事者の先輩たちから勧誘を受け「私もみんなのためにできることをやりたい」と思い、中央委員会に入りました。
委員長になろうと決めたのは、委員会の活動をしていて、なんとなく一般の生徒たちと壁があるように感じたからです。誰もが気軽に相談できたり、一緒に企画を考えたりできるような開かれた委員会にしたいと思いました。
Nさん 1年生で体育祭実行委員になりました。委員会には5役というまとめ役があり、特に希望したわけではなかったのですが、務めることになりました。その時の実行委員長が、テキパキと指示を出すとてもかっこいい人で…。私はクラスの中でも率先して話をしたり、上に立つようなタイプではなかったので、憧れを抱きました。2年でも引き続き5役をやり、3年になって「先輩のようになりたい」「自分を変えてみたい」というチャレンジ精神で委員長に立候補しました。
Hくん ぼくも1年の時に、学院祭実行委員会に入りました。最初は表門を制作する班を希望していたのですが、ジャンケンに負けて入れず、5役が空いていたので、自分から手を挙げました。その時の先輩たちは、問題点に対して「こうしよう!」「いや、こっちの方がいい」と意見を出し合い、本気で良い学院祭を作り上げようとがんばっていて。そんな姿を見て、自分も積極的に運営に関わりたいと思いました。
2年では副委員長になって、先輩たちをサポートしましたが、自分の中ではやり残したこともありました。3年生になり、今度は自分がリーダーとなって「後輩たちを引っ張っていこう」「やり残したことを実現しよう」と委員長に立候補しました。
▶Mさん
▶Nさん
▶Hくん
Q 活動をする上で力を入れてきたこと、また大変だったことは?
Mさん 中央委員会が主催するメインの行事は、新入生に向けてクラブや委員会の活動を発表する「生徒会ガイダンス」です。クラブの部長や委員長と時間をかけて関わり、企画を練りました。
今はコート改革に次いで、女子のハイソックスの自由化に向けて動いています。学校指定のソックスは1足1000円と高く買い替えがしにくい、それに、夏はハイソックスが暑い!という声が以前からあり、この任期で校則を変えたいと思っています。まずは、総会で生徒たちの具体的な意見を収集し、それらをまとめ校長先生たちに提出する予定です。
Nさん 5月に体育祭を終えたのですが、今年は1年生が2クラス増えて10クラスになったので、得点を6位から7位までに増やしたり、コースも6から7コースにするなど、変更点が多く大変でした。また、大繩跳びの縄が足りなくなり、切れないと思っていた縄が直前の練習で切れるといったトラブルが発生。時間のない中でなんとか業者とやりとりをして、縄を調達しました。体育祭の中でも大縄跳びは毎年、熱戦が繰り広げられるので、新しい縄と古い縄が混在して不平等になってはいけません。そういう点も配慮し、すべて一新しました。
120人の実行委員を束ねるのは、気を遣うことも多かったですけど、協力し合いながらいい体育祭ができました。終わった後にみんなから「お疲れさま」と声をかけてもらい、うれしかったですね。
Hくん 学院祭は10月に開催されます。1学期から既に実行委員会の活動がスタートし、今のところスケジュール通りに企画が進んでいます。ただ、今年は事情があって、生徒の手で野外ステージの足場を組むことができなくなりました。業者に頼まなくてはならず、費用をねん出するために、現在、寄付金集めをしているところです。
学院祭は、生徒会最大の行事で、毎年大いに盛り上がります。でも、これまでは「自分たちが輝きたい!」という側面が大きすぎたかもしれません。今回は来てくださるお客様に、もっと喜んでいただけるよう、校内の装飾や大パネルなどを工夫したり、企画を考えたりしています。昨年を超える学院祭にしたいです。
Q リーダーとして心がけていることは? また、リーダーを務め、成長したと感じたことは?
Mさん 私は上に立って人に教えるのは得意でなくて、同じ立場で話すようにしていました。後輩に指示を出す時も「○○をやっておいて」ではなく「私はこういう風に考えているのだけれどどう思う?」と相手の意見も聞き、コミュニケーションを大事にしました。
自分が成長したなと感じるのは、いろいろな角度で物事を見られるようになったことです。以前は自分が納得できればいい、自分の周りにいる人が楽しめればいいと思っていましたが、今はクラスの一員だったら、アメフトの部員であったら、どんな気持ちだろうと、相手の立場に立って、考えられるようになりました。
Nさん 体育祭を成功させるために、各班の班長や5役と連携を密にすることを心がけました。最初の頃は2年生と3年生の間にぎこちなさもあったけれど、スローガン幕作りを機に、話がしやすくなりました。3年生だけでできないことを2年生に手伝ってもらうなど、互いを助け合う雰囲気を作るようにしました。
責任感が強くなったことと、コミュニケーション力が身についたことについては、少し成長することができたと感じています。委員長の立場は責任逃れができないので、自分から積極的に動くようになりました。また、多くの人と関わることで、初対面の人とでも話ができるようになりました。
Hくん ぼくは委員長っぽくない委員長を目指そうと思いました。もちろんリーダーとして頼られる存在でありたいですが、時には人を頼ることも大事かなぁと…。1人でぐいぐい引っ張るのではなく、全員で1つのものを作り上げていきたいです。
委員長という上の立場になったことで、何事にも手を抜かなくなりました。中学生の頃は部活ばっかりやっていて、勉強がおろそかになったり、ちょっとしたことは手を抜いてもいいだろう…と考えていましたが、今は、委員会の活動も勉強も、どちらも一生懸命取り組んでいます。
生徒主体の教育を目指して 青山博之先生
本校の特徴を一口で表すと「生徒が主体となって頑張っている学校」と言うことができます。Mさんが話していた「生徒会ガイダンス」は、以前は教員主導で進めることが多かったのですが、近年は中央委員会が企画をしています。当日も、「このタイミングで○○部が壇上に上がって…」というようにディレクターの役割をきっちりこなしていました。
体育祭実行委員長のNさんは、自分でも言っていたように、決して前へ前へと出るタイプではありません。しかし、大所帯の実行委員会を束ね、リーダーシップを発揮していましたね。体育祭の閉会式で「みんなで助け合って作り上げ、素晴らしい体育祭になった。感謝の気持ちを伝えたい」と自分の言葉で語ったあいさつが感動的でした。
学院祭はこれから準備が忙しくなります。Hくんも様々な問題などをクリアしていかなくてはなりませんが、お客様も生徒も全員が楽しめる学院祭になることを期待しています。また、本人が話していたように、責任をもっていろんな活動をしている生徒は、勉強もしっかりやって成績も良い。これは確かですね。
私たちはクラスづくりや行事、部活動を一生懸命やるよう奨励していますが、生徒たちは自然体で、組織立ってやっています。仲間を活かし合える、生徒が主人公として活躍できるのが、正則高校の伝統なのです。
▶青山博之先生
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