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しばうらこうぎょうだいがく

芝浦工業大学附属高等学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(芝浦工業大学附属高等学校の特色のある教育 #5)

高校生のうちから大学の教授陣と交流!高大連携でより充実した大学生活へ

高大連携により、高校生のうちから芝浦工業大学の教授陣と交流。付属校ならではの高3生の学校生活や大学での様子について取材した。

芝浦工業大学附属高等学校は2017年度の共学化に合わせて、高校から入学する生徒は原則、芝浦工業大学へ推薦進学するコースに所属することになった。この春に卒業した共学1期生の進路や、付属校ならではの高3生の学校生活について、校長の大坪隆明先生とキャリア教育推進室長の西田泰洋先生に話を聞いた。

入学後の単位認定につながる大学の先取り授業

同校では、高校からの入学者は、芝浦工業大学への推薦進学を目指すコースに所属する。内部推薦の基準をクリアすれば、ほとんどの生徒が希望する分野に進学することができるという。しかし、この春に卒業した生徒のうち芝浦工大へ進学した生徒は約68%だった。その理由について、西田先生は次のように説明する。

「芝浦工大への推薦進学を目指すコースではありますが、入学してから勉強ができるようになって、難関大学にチャレンジしたくなった生徒もいます。例えば、今年の春に卒業した生徒は、東京工業大、筑波大、東京理科大などに合格しました。東京理科大には、指定校推薦で2人、公募推薦で3人が進学。また、途中で文系の方が合っていると気づいた生徒もいたので、そのような生徒も希望に沿った進路を選べるようにサポートしています」(西田先生)

芝浦工大への推薦進学の場合、どのように学部や学科を選んでいるのだろうか。

「推薦進学できる学部・学科には枠があり、基本的に成績優秀な生徒は第1志望の学科に進むことができます。成績によって2割前後の生徒は第2志望になりますが、同じような学科系統があるので、多くの生徒は、そのうちのどこかには入れています」(西田先生)

どのような学科があって、どのように違うのかを知るプログラムは、キャリア教育に組み込まれている。2年次に、全学部・全学科のカリキュラムや研究内容の説明を聞く「学科説明会」を行うほか、「理科講座」で全学部・全学科の教授陣が2時間連続の専門講義を実施。

「例えば、機械系には機械工学科・機械機能工学科・機械制御システム工学科があり、建築学部はAPコース(先進的プロジェクトデザインコース)、SAコース(空間・建築デザインコース)、UAコース(都市・建築デザインコース)の3つに分かれてスタートします。それぞれの細かい違いを大学の先生から説明してもらうことで、自分に合った学科や進みたい分野を具体的にイメージすることができるのです。また、高3の成績優秀者は、大学の講義を先取り授業として受講できます。学期末には大学生と同様に期末試験を受け、合格すれば大学進学後に単位として認定。授業は一般教養などから、高校生でも理解できるものを選んでいるので、3年生にとってはよい刺激になっています。この先取り授業に出た生徒は、大学に進学してからもやはり成績がいいです」(西田先生)

▶︎キャリア教育推進室長 西田泰洋先生

高大連携の授業で教授陣とも交流

高大連携講座「Arts and Tech」は、1年次から3年次まで週2時間ずつ実施。芝浦工大の教授・大学生・大学院生のサポートを得ながら、ものづくりを実際に行うリアルな体験を経て、工学の楽しさを学ぶ。その中で、高校で学ぶ数学や物理の先にあるものが見えてくる。教授陣と生徒の間には、様々な交流もあるという。

「大学の先生から『あの生徒に、ぜひうちの学科に来てほしい』というリクエストが来ることもあります。高校生のうちから大学とうまく連携できているので、学科のミスマッチを防ぐこともでき、受験を経て進むのとは大学生活も全く違います。本校の生徒は、学科だけでなく『この研究室に入りたい』『この教授のこの研究分野を学びたい』などと、入学後のことまで踏み込んで考えている子が多いです」(西田先生)

推薦進学の生徒たちは、受験勉強という形では学んでいないので、偏差値で表す学力という面では一般入試で入学した学生の方が上かもしれない。しかし、大学からは学力以外の面を期待されているという。

「大学からは、コミュニケーション力やみんなをまとめる力などが評価されており、そういった面を期待されています。推薦進学の生徒たちは受験にとらわれないので、高3でも部活動や文化祭に打ち込めます。推薦試験が終わってから、部活に戻って最後まで続けたり、練習試合の手伝いをしにくる生徒もいます。受験校ではなかなかできない、附属校のいいところです。受験を意識しなくてよいので、授業を早く進める必要もありません。ですから、文化祭などの行事も、成績に余裕がある子は高3でも一生懸命に取り組むことができるのです。そのような環境の中で、大学側から期待される力が育まれていくのだと思います」(西田先生)

▶︎高大連携講座「Arts and Tech」で地上デジタル放送受信アンテナを製作

高3で取り組む「大学につながるレポート」

芝浦工大に推薦進学するためには、高3のときに「大学につながるレポート」を提出し、大坪校長先生の面接をクリアしなければならない。レポートのテーマは、「なぜ生徒は数学が嫌いになるのか」「私の考えるエレクトロニクス技術の可能性」「歩行アシストロボットで高齢者に笑顔を」など、生徒の関心によって様々だ。

「高校から大学への橋渡しとして、約半年間かけてレポートを書き上げます。体験に基づいて書いたり、自分で模型を製作したり、こだわるタイプの生徒はとことんこだわり『すごい子がでてきた』『ここまでやるんだ』、と思わせる生徒もいました。一方で、テーマを決める段階で、まだ浅い部分しかイメージできていない生徒もいます。しかし、何らかの関心がないと、進学する学科を選べません。自分の一生を決める大事な選択をする際に、重要な役割を果たすのがこのレポートです。イメージの浅い生徒には、なぜそれについて書きたいのかと問いかけ、出てきた答えについてもさらに掘り下げていくと、ようやく本当に関心のあるテーマが見つかってきます。調べることだけでも勉強になりますし、調べていくうちに様々な発見もあるでしょう。レポートすべてに目を通しているので、書き直しをさせることもあります。面接でも、大学でどんなことをしたいかしっかりと聞いているので、学科のアンマッチはなくなりました」(大坪校長先生)

推薦進学で入学した生徒は、勉強で苦労する面もあるかもしれない。しかし、基礎がクリアできれば、専門課程で研究室に入ってから力を発揮している学生が多いと大坪校長先生は語る。

「附属校から進学した生徒たちは、部活動でキャプテンになったり、研究室に入るといろいろと気を配ることができ、大学の先生からも愛される子が多いです。高校生のときから教授陣と交流があり、他の学生たちより環境にも慣れているため、自分を飾る必要がないからかもしれません。『Arts and Tech』で前向きに取り組んでいれば、大学の先生の目に留まることもあります。大学生活にスムーズに入れるのが、附属校出身のメリットでありアドバンテージです。今後、共学化後の生徒たちがどんな活躍をするか楽しみです」(大坪校長先生)

▶︎校長 大坪隆明先生

大学を楽しむためには数学や物理が重要

芝浦工大に入学して充実した大学生活を送るためには、高校生のうちに数学や物理をしっかりと学ぶことが大切だと、大坪校長先生は語る。

「本来大学は楽しいところなので、楽しんでほしいです。理工系の学部では、高校で学んだ数学や物理がそのまま出てきて、学んできたことを活かす場となります。ですから、数学や物理ができないと、大学が楽しくなくなり、苦しいところになってしまうのです。大学生活を楽しむためには、物理や数学で苦しんではいられません。さらっと通り過ぎて研究につなげることができれば、楽しい大学生活になります。そのためには、高校生のうちにしっかりと数学や物理の勉強をしておくことが必要なのです。そして、大学1年生の前期はすべての授業でAをとるつもりでやれば、その後の見通しが立ちます。最初はアルバイトもしないで、勉強に全力を注いでほしい。そこで順調なら、その先は大丈夫です」(大坪校長先生)

2020年3月に芝浦工大を卒業した同校出身の学生は、約3割が大学院に進学。約7割の学生は、様々な企業に現業職として就職しているという。

「本校には鉄道が好きな子が多いので、JR東日本に就職した学生が一番多かったですが、あとは重なっている企業はなくバラバラです。それぞれが選んだ道で、活躍してくれると思います。本校の生徒たちは、何らかの動機を持って、それを芝浦工大で実現しようと思って入学してきます。高校の3年間でそれを具体的にして大学へ進学し、充実した大学生活の中でぜひ現実のものにしていってほしいです」(大坪校長先生)

<取材を終えて>
理工系の学部・学科は専門分野が細かく分かれているので、自分が本当にやりたい内容を選ぶためには、しっかりと調べることが必要だ。しかし一般的には、入学前には自分がやりたいことが漠然としているため、どの学科が最適かわからないことが多い。同校では、学科説明会や理系講座を通して、各学科で学ぶ具体的な内容を知ることができる。また、大学の教授陣による授業を受ける中で、やりたいことも明確になってくる。受験勉強ではなく、理工系大学入学前の準備教育を受けられることは、理工系大学に進む生徒にとっては大きなメリットであると感じた。

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