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2018/12/10(月)

どれくらい軽減されるの?私立高校授業料の補助制度



「高校受験の基礎知識」シリーズでは、「学校説明会には参加したほうがいいの?」「併願優遇って何?」など、中学生や保護者の皆さんが気になる項目について解説していきます。

受験する高校を決めるとき、保護者にとっては学費も重要な要素となります。公立と私立では学費に大きな差がありますが、授業料を補助する制度によってその差は狭められました。Vol.4では、国や都道府県が行っている私立高校授業料の補助制度について解説します。






1. 国と都道府県による補助制度を併用できるが、それぞれ申請が必要
2. 保護者が学校を通して申請し、補助金は都道府県から学校へ交付される
3. 保護者が一旦授業料を納めて、後日学校から返還される場合もある

  
私立高校に通う場合、入学金や授業料のほか、制服代、施設費、修学旅行費など、3年間でかかる費用は学校によって異なりますが、毎月大きな負担となるのが授業料です。家庭の状況によって教育の機会均等が損なわれることのないように、国と都道府県のそれぞれで授業料の補助を行っています。国や都道府県が定める収入基準などを満たす必要がありますが、対象となれば2つの制度を併用することが可能です。

2018年度全日制(普通科)の場合

国の補助制度「高等学校等就学支援金」


国公私立を問わず、高校などに通う生徒(所得等の要件を満たす世帯)に対して、授業料にあてるための「高等学校等就学支援金」(以下、就学支援金)が給付されます。公立高校では月額9,900円。私立高校の場合は、月額9,900円が基本ですが、世帯の収入に応じて1.5~2.5倍に加算された額が支給されます。
                              

都道府県の補助制度

                   
国からの「就学支援金」と授業料の差額については、各家庭で負担しなければなりません。その差額を補うために、私立高校に通う生徒に対しては、各都道府県による独自の補助制度があります。「就学支援金」と併用することが可能ですが、都道府県による補助制度は、居住地と通う学校の所在地によっては対象とならない場合もあるので、注意が必要です。
  
居住地 学校の所在地
東京都「私立高等学校等授業料軽減助成金」 東京都 都外の高校も可
神奈川県「私立高等学校等生徒学費補助金」 神奈川県 神奈川県
千葉県「私立高等学校等授業料免除制度」 県外に居住も可 千葉県
埼玉県「父母負担軽減事業補助金」 埼玉県 埼玉県

  
例えば、東京都在住なら、神奈川県にある私立高校に通う場合も東京都の制度を利用できますが、神奈川県在住で東京都にある私立高校に通う場合は東京都の制度も神奈川県の制度も対象外になります。埼玉県在住で千葉県にある私立高校に通う場合は、千葉県の制度が利用できますが、千葉県在住で埼玉県にある私立高校に通う場合は千葉県の制度も埼玉県の制度も対象外となってしまうのです。制度を利用したい場合は、居住地と通いたい学校の組み合わせが対象となるか受験前に確認しておきましょう。

東京都「私立高等学校等授業料軽減助成金」

年収の目安760万円程度までの世帯に対し、国の「就学支援金」と合わせて、都内私立高校平均授業料相当(2018年度は44万9,000円)まで助成します。
※平均授業料より低い場合は、実際に納付する授業料が上限

神奈川県「私立高等学校等生徒学費補助金」

年収の目安750万円未満程度の世帯に対し、授業料74,400円から253,800円、入学金は100,000円が補助されます。
※学校への納付額が補助額を下回る場合、納付額が上限

千葉県「私立高等学校等授業料減免制度」

年収350万円未満程度の世帯には、国の「就学支援金」と合わせて授業料の全額、年収350万円以上640万円以下程度の世帯には、「就学支援金」と合わせて授業料の2/3を補助。年収350万円未満程度の世帯は、入学金の1/2または50,000円のいずれか低い方の補助も受けられます。

埼玉県「父母負担軽減事業補助金」

「授業料軽減補助」は、年収609万円未満程度の世帯に対し、国の「就学支援金」と合わせて、埼玉県内私立高校(全日制)の平均授業料(2018年度は378,000円)まで補助。県内私立高校に通う生徒本人以外に、私立高校または大学などに通う子どもが2人以上いる世帯に限り、年収720万円未満程度までの世帯が対象となります。

授業料のほか、年収609万円未満程度の世帯に対して一律で100,000円を補助する「入学金軽減補助」、年収500万円未満程度の世帯に対し、埼玉県内私立高校(全日制)の施設費等平均額200,000円(年額)まで補助する「施設費等納付金軽減補助」もあります。 ※授業料等が補助金額より少ない場合は、納付する金額が上限

支援金や補助金は学校が受領


国からの「就学支援金」や都道府県からの補助金は、生徒や保護者が直接受け取るものではありません。学校設置者(学校法人等)が生徒本人に代わって受け取り、授業料にあてるものです。申請してから交付されるまで時間がかかるため、学校によっては保護者が一旦授業料を納めて、後日学校から保護者へ返還される場合もあります。入学時に慌てないように、申請の流れについて学校説明会などで確認しておきましょう。