関西大学併設高等学校
スペシャルレポート
自由な校風のもと、
自分の「やりたい!」に打ち込める3年間
公開日:2022.12.1
13の学部と13の大学院研究科、2つの専門職大学院、1つの別科を要する関西大学は、日本で有数の総合大学だ。その中学校、高等学校の併設校として、「関西大学第一中学校・高等学校」「関西大学北陽中学校・高等学校」「関西大学中等部・高等部」の3校が設置されている。
Index
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約8割の生徒が関西大学へ進学
関西大学への内部進学制度は3校共通となっており、高校3年間の成績および生活状況・高校3年次に実施される関西大学独自のテストの得点・実用英語技能検定(英検)のCSEスコア、それに加えて検定や資格、学校生活でのクラブ活動やボランティア活動などの活動を主体的な取り組みとして評価し、それらの総合得点で合否が決まる。学校にもよるが、約8割の生徒が関西大学に進学する。
高い関西大学への内部進学率の一方、国公立大学へ進学する生徒も一定数おり、生徒が希望する場合には関西大学合格後に国公立大学を受験することも可能である。様々な魅力にあふれる関西大学併設校についてレポートする。
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関西大学第一高等学校
1913年開校と110年の歴史を誇る関西大学第一高等学校。現在、校舎の建て替えが行われており、2023年11月には最新のマルチメディア環境を整えた図書館が新しく完成する予定だ。ますます充実する環境のもと、受験にとらわれることなく自分のやりたいことに打ち込める学校生活について、入試広報主任の中川仁一郎先生に話を聞いた。
高校校舎
初心者大歓迎! 他校にはない多彩な部活動が揃う
運動部が20、文化部が特別部を含めて14と多彩な部活動が揃い、卒業まで部活動にはげむ生徒が多い同校。アメリカンフットボールやアイスホッケー、フェンシング、ゴルフ、弓道など、他校ではあまり見ない部活動も多い。「本校にはフェンシングや弓道をはじめ、入部する生徒のほとんどが初心者という部活動もあり、とても人気です。またサッカーや硬式野球部はスポーツ実績重視型入学試験もあるので、一般入学の場合は入部すらできないのかという質問を受けることもありますが、そんなことは一切ありません。一般入学の生徒でも、練習をがんばってレギュラーになる子もいます」と中川先生は笑顔を見せる。
中川仁一郎先生
続けて中川先生は、週34時間という余裕をもったカリキュラム編成も部活動が盛んな理由のひとつに挙げる。「月~金曜は15時前に6限が終了し、15時半からは部活動を開始できます。それは2年次に3コースに分かれても、全コース変わりません。皆、終礼が終わると部活動に飛んでいきますね。その一方で、活動日は週1~2日とゆったりと活動する部もあり、生徒が興味のあることに自分のペースで取り組める環境が整っています」。
内部進学への万全のサポート体制
同校は1年次の成績と生徒の希望に応じて、2年次から文Ⅰ・文Ⅱ・理の3コースに分かれる。文Ⅰは関西大学の文系学部進学を希望する生徒のためのコースで、現状では7クラスと一番生徒数が多い。文Ⅱコースは難関国公立大学の文系学部への進学を、理コースは関西大学もしくは難関国公立大学の理系学部への進学を目指す。もちろん、両コースとも内部進学との併願が可能。
同校では生徒の約9割が関西大学に内部進学するそうだ。中川先生は「現行の制度では、高校3年間の内申点と関西大学独自のテストの得点、英検のCSEスコアなどの合格点が高い生徒ほど、進路設計の選択肢が広がり、行きたい学部を選ぶことができます。ただ、その逆も然りです。このことは入学後すぐのオリエンテーションでも説明しています。早い段階で伝え、普段の学びが大学進学につながっていることを理解してもらうことで、自分の将来の選択肢を広げてほしいと思っています」と話す。
早くから生徒の大学に向かう姿勢を培うことに加え、英検のCSEスコアアップのために英語の授業の他にも、学習アプリやオンライン英会話を活用したり、関西大学独自のテスト対策として授業内で過去問の演習に取り組んだりするなど、学習面でも万全のサポート体制を整える。「きちんと日々の授業に取り組んでいれば内部進学は無理なくできるので、楽しむ時は楽しみ、勉強する時は勉強するというメリハリを持って過ごしている生徒が多いですね」
充実した高大連携プログラム
関西大学千里山キャンパスのすぐ隣という立地を活かし、同校では高大連携プログラムに参加する生徒も多い。人気のプログラムは、商学部と連携した『KUSP-C』。関西大学高大連携センターで開かれている実際の講義を大学生と共に受講できる上、半期の授業全部に出席し、レポートやテストを受けて合格すれば、単位認定もしてもらえるという。「高校2年生以上を対象にしたプログラムで、大学入学前に最大6単位認定を受けた生徒もいます。他にも様々なセミナーが開かれています。大学での学びに触れることは入学後のミスマッチを無くすことにもつながります。近い学部なら歩いて2~3分という距離にあり、「地の利」を活かして放課後すぐに大学の講義にも参加できるというのは本校の大きな魅力のひとつです。
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関西大学北陽高等学校
2022年度より特進アドバンス・文理・進学アスリートの新3コース体制を順次整える関西大学北陽高等学校。広報部主任の楠山浩二先生に、各コースの特徴と高校卒業後を見据えた進路指導について話を聞いた。
高校校舎
希望の進路を叶える新3コース体制
2022年度より1年次からの設置となった特進アドバンスコース(1クラス40名)は、関西大学さらには難関国公立大学進学を目標とする。月~金曜はすべて7限授業、長期休みには必修の補習、1年次の春休みと2年次の冬休みにはコース生のみの学習合宿も行うなど、豊富な勉強時間を確保。2年次からは文系・理系に分かれ、少人数制授業を実施。楠山先生は「20名程度の少人数で授業を行うことで、学習内容の理解度が格段に上がります。学校の勉強を中心に、関西大学さらには難関国公立大学を目指せる学力を磨くことを目標に指導しています」と説明する。
楠山浩二先生
文理コースは全7クラスのコースで、「勉強も部活動もがんばりたい」という生徒が多く在籍。1年生の4月に実施したアンケートでは、約95%が部活動に所属していると回答したそうだ。週35時間の授業で、夏休みには希望者を対象とした補習を準備し、勉強にも部活動にもしっかりと打ち込める体制を整える。2年次にはコース内にグローバルクラス(1クラス30名)の設置を予定している。このクラスでは、英語の授業はすべて日本人教員と外国人教員の2人体制となるほか、オンライン英会話を導入。2年次にはベトナム・シンガポール研修、3年次にはオーストラリア研修、中国語の授業も行うという。「目標は、関西大学進学後すぐに交換派遣留学に挑戦できる高い語学力の習得ですが、加えて課題解決能力やコミュニケーション能力を高め、国際貢献できる人材の育成をめざしたカリキュラムを用意しています。国際教育部の先生が中心となって、その準備を行っており、2023年4月からのスタートが楽しみです」
進学アスリートコースは2クラス70名編成。男子では陸上競技・水泳・硬式野球・サッカー・ハンドボール・バレーボール・バスケットボール・柔道、女子では陸上競技・水泳が対象クラブとなる。このコースの特徴は、独自科目「スポーツ」が3年間で10単位設定されていること。「スポーツ」ではウエイト・トレーニングやニュースポーツを行うほか、自分の専門競技とは違う競技にも挑戦する。また、キャンプやスキーなど宿泊行事も多い。「自分とは違う競技を専門とする生徒たちが、同じクラスで一緒に勉強やスポーツに取り組んでおり、とても良い刺激になっていると思います」
大学卒業後を見据えた進学指導
関西大学に出願するにあたり、12月に願書と志望理由書を提出する必要がある。志望理由書には、大学でがんばりたいことや社会に出てからどのように社会貢献したいかについて書くという。「志望理由書を書くことは、自分の大学での学びや将来について考える大事な機会です。生徒たちが4年間の目標をしっかり持って大学生活をスタートできるよう、教員も力を入れて指導しています」と楠山先生は熱く語る。
同校では関西大学独自のテストを受験した生徒の内、9割弱が関西大学へ進学する。「関西大学への進学を目指しながら、さらに高い学力が付いてきた生徒には、難関国公立大学進学を視野に入れたフォロー体制も充分に整えています。文理コースや進学アスリートコースの生徒だけでなく、特進アドバンスコースの生徒でも多くの生徒がクラブ活動に参加しています。勉強・クラブ・行事といずれにも全力で取り組んでいる生徒がたくさんいること、気持ちのいいあいさつができる生徒がたくさんいることが本校のすばらしい所だと日々感じています」
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関西大学高等部
JR高槻駅から徒歩7分、阪急高槻市駅から徒歩10分の関西大学高槻ミューズキャンパス東館に位置する関西大学高等部は、そのアクセスの良さで府外からの通学者も多い。大学とも施設を共有するため、1階にはコンビニや紀伊國屋書店があり、クラブ活動の更衣室にはシャワールームも設置されるなど、とても充実した環境で学校生活を送ることができるのも大きな利点だ。入試広報部長の稲垣慶典先生に、1学年4クラス約150名という小規模校だからこそできる手厚い指導について取材した。
高槻ミューズキャンパス
小規模校ならではの手厚さで、希望の進路をサポート
2021年度卒業生の約70%が関西大学へ、約15%が国公立大学へ、約10%が私立大学の医歯薬系学部へ進学と併設校の中では外部進学者が多い同校。そのサポートについて「外部進学を目指す生徒達の志望大学や学部も人それぞれで、必要となる問題集や過去問も人によって違います。生徒一人ひとりが自らの生き方を考えて、進路を切り拓くことができるよう、各々に合った進路指導を行っています。このような指導ができるのも小規模な学校だからです。よく外部進学を希望する子は肩身が狭くありませんかと質問されるのですが、本校では内部進学・外部進学のどちらもきめ細やかにサポートします」と稲垣先生。
稲垣慶典先生
また、同校の特徴的な教育であるプロジェクト学習を利用し、国公立大学の特色入試にのぞむ生徒も多いという。同学習で生徒は自分の興味に沿って所属ゼミを選び、関西大学の教員の指導も受けつつ、自分で決めたテーマの研究に取り組む。「ゼミは全部で10あるので、1ゼミ当たり15人になります。この人数だと教員と生徒の距離も近くなり、教員も指導しやすいし、生徒も質問しやすい。これも小規模校の利点です。プロジェクト学習では2年時に卒業論文を書いてもらいます。教科学習、国際理解教育、そして、探究学習の融合が国公立大学も含めた大学合格実績につながっています」
多様な人間の視点に触れ、広い視野を得る
小中高がある附属学校の場合、気になるのが中等部進学生と高等部入学生の人間関係であろう。稲垣先生は「初等部生50名、中等部からの進学生70名、高等部からの入学生50名と入学者の割合はほぼ変わりません。それに加え、2021年度からはクラス編制を中等部進学生と高等部入学生の混合にしたので、生徒は普段の学校生活で中等部進学生と高等部入学生などをそこまで意識していませんね」と話す。
この初等部生、中等部からの進学生、高等部からの入学生がいる環境は、プロジェクト学習の充実度にもつながる。「プロジェクト学習のまとめとして、高3時に大学の教員や専門家が参加する卒業研究発表会でプレゼンテーションを行ってもらいます。自分の考えをまとめ、発表することはコミュニケーション能力の育成につながりますし、なによりこの学習を通して同学年の友達の視点を見られる意義は大きい。特に本校は幅広い環境で育った生徒が集まっており、育った環境が違うがゆえに出て来るアイディアや着眼点も豊富です。同世代の幅広い視点に触れる機会を数多く持つことで視野が広がります。この人間関係の幅広さは本校の魅力です」
生徒のニーズに応じ、女子の制服にスラックスも導入
「品位と誇り」をテーマとする制服は、オプションのバリエーションも豊富だ。シャツも白だけでなくラベンダーがあるほか、リボンやネクタイ、羽織りものもベストやセーター、カーディガン(女子のみ)を各多数のカラーを揃える。
また、女子の制服にはスカートだけでなく、スラックスも導入している。「これも生徒の希望に対応したもので、導入してかなり経ちます。一般的に教育には固定概念的な指導やルールも多いですが、本校は他校に比べてそれが少ないと感じています。生徒が望んでいるなら対応しようと柔軟に動く気風が本校にはあります」
取材を終えて
併設校への入学志望理由として「高校3年生まで部活動をしたい」を挙げる生徒が多いという。その言葉通り、多くの生徒が3年生まで部活動にはげむという。取材にうかがったのは9月の文化祭準備の頃だったが、どの学校でも熱心に準備に取り組む生徒の姿が見られ、「行事に! 部活に!」と楽しい学校生活を送っていることが伝わってきた。
また、カリキュラム面でも、大学入学前に関西大学の講義を受けられるなど、具体的に大学の学びをイメージできる取り組みが多数展開されている。文武両道という理想的な高校生活と共に、大学でも充実した日々を送れるよう、それに向けた取り組みがあるのも併設校ならではの利点だ。
ぜひ一度学校説明会等で学校に足を運んで、校風を肌で感じ、教育内容を直に聞いてみることをおすすめしたい。