スクール特集(神戸国際高等学校の特色のある教育 #1)
ネイティブ教員が語る英語・グローバル教育
グローバル人材の育成をめざす神戸国際中学校・高等学校。例年高い大学合格実績を誇っている同校の教育の特色とは?
少人数制・独自の教育プログラムにより、グローバル人材の育成をめざす神戸国際中学校・高等学校。実践的な英語教育と、常に異文化と交流するグローバルで自由な学校環境が特色です。
生徒は中高6年間で優れた英語の運用力と国際感覚を身につけて巣立っていきます。進路指導も充実し、例年高い大学合格実績を誇っています。
今回、英語・グローバル教育について、ネイティブの先生にお話をうかがいました。
神戸国際中学校・高等学校 英語科 ワード・ハフマン先生へのインタビュー
娘のように大切な生徒たち
はじめまして。私はアメリカ東部のワシントンD.C.の出身です。半導体のエンジニアとして、シリコンバレーで働いていたこともありますが、大学時代は、エンジニアになるための学問や、哲学や社会学など幅広く学びました。
妻は日本人で、英語の教師です。娘が二人います。娘が小学生だったころ、娘の通う学校で英語を教えたことをきっかけに、子どもに教えることがとても楽しく好きだと思いました。それで、英語の教師になったのです。
生徒のことは、娘のように大事に思っています。とても気持ちのいい生徒たちです。生徒のために一生懸命教えています。毎日がとても楽しいです。
少人数だから、一人ひとりがたくさん話せる
授業でもっとも大切にしていることは、コミュニケーションです。私は生徒たちと家族のような気持ちで教えています。 生徒にとって、授業は安心できる場所。間違えても大丈夫です。
授業はほとんど英語だけで進めます。私は生徒一人ひとりと話をします。本校は1クラス10人~20人です。少人数だから、誰もがたくさん話せます。私は一人ひとりの気持ちや考えを聞きたいといつも思っています。
相手をわかりたいと思うこと、そして相手に伝えたいと思うこと、それがコミュニケーションです。だから、聞く力も大事です。授業では私と生徒のコミュニケーションだけでなく、生徒同士の英語のコミュニケーションも行い、話す・聞く練習をくり返します。生徒たちははじめは恥ずかしがっていますが、やがてどんどん大きな声で英語を話すようになります。
プレゼンテーションにも力を入れています。プレゼンテーションで肝心なのは、質疑応答です。プレゼンテーションのあと、聞かれたことに答えられるか。また、人のプレゼンテーションを聞いて、質問できるかがとても大切です。プレゼンテーションのために暗記することも大事ですが、それだけではいけません。授業では、質疑応答の仕方も練習します。
「英語オラトリカルコンテスト」
本校ではスピーチコンテストもとても熱心に取り組んでいます。全校生徒が行います。毎年2月に行う「英語オラトリカルコンテスト」では、中学生は暗唱、高校生はスピーチをします。中1・中2は物語の暗誦、中3になるとレベルを上げて、キング牧師やオバマ大統領などの歴史に残る名演説を暗誦します。
「英語オラトリカルコンテスト」のために、授業でもくり返し練習します。そして、クラスごとに全員が暗誦を発表し、学年代表者を選びます。少人数の学校だからこそ、全員が発表できます。私も一人ひとりに教えることができます。生徒たちは本当に一生懸命練習しています。
全校生徒(中学1~高校2年生)が参加する代表によるこのコンテストは、朝日ホールなど外部のホールを借りて行います。本格的なコンテストです。生徒の家族、教師など全員の前で発表します。いつもすばらしい発表を聞くことができます。審査委員長は神戸外国語大学の教授、審査委員も全員が外部のネイティブの先生です。
「仏語リサイタル」
「英語オラトリカルコンテスト」といっしょに、「仏語リサイタル」も行います。フランス語の劇や詩を暗誦したり、歌を歌ったり、楽しく発表します。
本校ではフランス語の授業があります。中学は必修です。ネイティブ教員が教えるので、とてもきれいな発音で話すことができるようになります。
英語だけでなくフランス語も教えるのは、複数の言語が話せることはこれからの時代ますます必要となってきているからです。より多くの言語を学ぶことはなにより生徒の可能性を広げることが出きると思います。たとえば、大学に入ってから「フランス語をやってみようかな」と思うかもしれません。また、仕事で必要となるかもしれません。そのとき、すでに基礎ができています。
外部の英語コンテストに上位入賞
生徒たちは、学校外の英語コンテストにも積極的にチャレンジしています。そして、とても活躍しています。今年は、兵庫県私立中学・高等学校連合会主催の第12回レシテーションコンテスト・スピーチコンテストで、中3の生徒が2位、高2の生徒が2位、高3の生徒が3位を受賞しました。
ホノルル市長杯第46回全日本青少年英語弁論大会では、高2の生徒が第3位を受賞しました。
獨協大学が主催する全国高校生英語プレゼンテーションコンテストにも参加しています。このコンテストに参加するのは、今年がはじめてです。
全国の応募者297人のなかから、本校生徒1名が1次予選・2次予選を通過しました。全国大会は10月です。いま生徒は一生懸命に練習しています。
「ファッションと環境問題」をテーマにプレゼンテーション
獨協大学の全国高校生英語プレゼンテーションコンテストに出場する生徒のことをお話ししましょう。高2のある生徒は、「ファッションと環境問題」をテーマにプレゼンテーションの原稿を書きました。この生徒は、中3のとき、自分の好きなファッションをテーマにレポートを書きました。本校では、中学3年生は日本語で自分の興味、関心あることを取り上げ、論文を書きます。原稿用紙20枚、8000字の論文です。高2のその生徒は、自分の論文を読み返し、内容をより深く掘り下げ、英語で書くことにしました。
テーマについてさらに調べていくうちに、ファッションが途上国の環境問題と関係していることに気づきました。そして、中3の論文をさらに深めて、英語プレゼンテーションにまとめました。パワーポイントも上手につくっています。
本選(主催:獨協大学外国語学部)が、10月9日(日)獨協大学にて行われました。応募総数279名の激戦を勝ち抜いた10名の高校生による本選。情熱的なプレゼンテーションが展開されました。本校からは高校2年生が、「入賞」しました。
中学・高校の海外語学研修
本校の生徒は、6年間でたくさんの異文化を体験します。その中心は海外語学研修です。中学生は希望者が毎年夏休みに約10日間、海外研修に参加しています。
英国・カナダ・フランスの3カ国を巡回しています。今年はカナダへ行ってきました。
中3は全員が1泊2日の国内イングリッシュキャンプに参加します。場所は自然豊かな丹波で、外部のネイティブ講師からに学びます。いつも習う学校の先生ではなく、いろいろなネイティブ先生から学び、交流してほしいと思っています。
高1は全員が3週間のニュージーランド研修を行います。生徒1人ひとりが1つの家庭にホームステイしながら、午前中は英語・フランス語の授業、午後は乗馬やカヌーなどいろいろなアクティビティーを通して英語に触れます。夜は英文日記を書き、ホストファミリーに読んでもらい英語を直してもらいます。
ニュージーランド研修は大きな経験です。生徒たちは中学3年間で会話の基本ができるようになります。また、中3は1年間かけて、ニュージーランドの文化や日本の文化を学びます。ニュージーランド研修は中学3年間の学びの実践です。ニュージーランドで全員が海外の文化を体験し、人と交流し、もっと英語が上達したいと意欲を高めます。
韓国で開かれる「グローバルフォーラム」に参加
2014年より、韓国の釜山国際高校・中学校との交流を始めました。私はそのリーダーです。釜山国際高校・中学校が開催する「グローバルフォーラム」へも、代表生徒が参加します。「グローバルフォーラム」は、世界約10カ国におよぶ高校生・中学生が集まり、地球規模のテーマについてプレゼンテーション・ディスカッションします。
この活動を、高2の授業に取り入れ、全員の英語の上達に役立てています。授業ではまず一人ひとりがインターネットなどを使って、「グローバルフォーラム」のテーマについて調べます。そして、全員でディスカッションします。今年2016年のテーマは、「AI:人工知能とHC:ヒューマン・クリエイティビティ」です。とても難しいテーマです。
授業のあとで、フォーラムへの参加希望者を募集します。いつも多くの生徒が希望しています。今年もたくさん希望者が出ました。私はその生徒と一人ひとりインタビューし、6人を代表に選びました。
いよいよ10月下旬に、私といっしょに韓国へ行きます。生徒は日ごろから授業でスピーチや質疑応答の仕方を学んでいます。中学のときから「英語オラトリカルコンテスト」も経験しています。生徒たちはその成果を出すことができると期待しています。
アジアの学校との交流
海外研修に加えて、アジアの学校との交流も盛んです。韓国、台湾の生徒を学校に招いています。モンゴルの留学生も受け入れています。本校の生徒もモンゴルへ行き、「モンゴル遊牧文化体験ツアー」をしました。
また、本校には中国や韓国、アメリカなど、いろいろな国籍の生徒が学んでいます。こうした友だちから、違った価値観、異文化を学ぶことができます。
ネイティブ教員もたくさんいます。英語のネイティブ教員が7人、フランス語は2人です。
本校はこのようにグローバルな学校です。いつも異文化に触れ、いつも英語でコミュニケーションができます。6年間を本校で過ごすことで、英語は高いレベルまで上達できます。
英語を土台として「行きたい大学」へ
最後に、進路のお話をしましょう。少人数の学校として、一人ひとりの「行きたい大学」への進学をしっかりとサポートします。英語はそのための土台にもなります。ネイティブ教員は発音、スピーチ、TOEIC、英検、大学受験の英語……生徒の進路にあわせ、1対1で教えています。日本人の英語の先生との連携もうまく行っています。
英検や、コンテストの入賞、海外経験などは、大学入試に有利です。生徒たちは、大学入試の英語の試験で高い得点を取ることができます。AO入試でも、コンテストの成績などをアピールできます。英検準1級を取得すれば、英語の入試が免除になる大学もあります。2020年から始まる大学の新入試も、英検の資格が求められています。
生徒のプライドを大切に
卒業生は、東京大学や大阪大学等、有名国公立、私立大学などに進学しています。学部も医学、薬学、教育、外国語、芸術等様々です。卒業生は、「のびのび学べるKISの環境が学力と意欲を大きく伸ばしてくれた。KISでの友達は生涯の友」といいます。
大切なことは、生徒を人として尊重することです。だれにでもプライドがあります。それを大切にすることはとても大切なことだと思います。本校は生徒を尊重し、一人ひとりに合わせて丁寧に教え、レベルアップしていきます。
そして、本校の生徒たちは明るく、積極的でやる気があります。学校は自由でアットホームな雰囲気です。セレモニーを除いて、服装は自由。授業のチャイムもありません。生徒は自分で考え、自分で行動します。そこには責任が伴います。先生と生徒はとてもいい関係にあります。
私たちは生徒のために、さらによい教育をめざして日々努力しています。