スクール特集(愛徳学園高等学校の特色のある教育 #1)
少人数制の授業で、「基礎学力」と「人間力」のある女性を育てる
「シラバス」「授業」「講習」「テスト」「面談」をPDCAのサイクルで繰り返す「5BOX」の取り組みで基礎学力をアップ、一人ひとりの力を伸ばす愛徳学園中学校の進路指導とは?
愛徳学園が考える進路指導とは / 進路指導部長 善本 信宏 先生のお話
「自ら考え、人に奉仕し、充実した人生を歩む女性に育てたい」というビジョンに基づき、10〜20年先を見据えた進路指導を行っています。どこの大学に進学するかがゴールではありません。進学することが目的ではなく、進学先でも発揮できる十分な力を養い、自立した女性に育ってほしいと願っています。
そのために一番大切にしているのが人間形成のための「基礎学力」と「人間力」です。
基礎学力向上のために、PDCAをしっかりと繰り返す「5BOX」の取り組みを行っています。また、学校行事や校外学習を通じて問題を発見し解決できる力、プレゼンテーション力、異文化理解力など、社会の中で役立つ「7つの力」を身に付けるための「Rainbow Program」を用意しています。
進路指導部長 善本 信宏 先生
大学進学はあくまでもスタートです。まずはスタートラインにしっかりと立ち、その先に目指す目標のために、自ら学べる力を本校で身に付けて欲しいです。
女性のキャリアにとって何がベストなのかをきちんと考えて学び、変化していく社会に対応できる自立した女性、自分が幸せになるために人に尽くせるような社会で尊敬される女性に育っていってほしいと考えています。
学習指導の特徴について~「5BOX」と「Rainbow Program」
「シラバス」「授業」「講習」「テスト」「面談」の5つを、計画(Plan)→実行(Do)→チェック(Check)→行動(Action)のサイクルに当てはめ、繰り返し行うことで基礎学力向上を図り、教育成果を高めていけるよう取り組んでいます。
今年から「シラバス」は大きく年間指標の柱を立てたうえで、より具体的に授業内容や使用教材、予習内容、テスト範囲などを明示した定期考査ごとのタームシラバスを作成しています。生徒が何に取り組めばいいのか、目標とゴールを明確にすることで、生徒のモチベーションを上げていこうと考えています。
「授業」はこの2つのシラバスに基づき実行しています。授業スキル向上のために、カリキュラムを整えました。
数学の単位を早めに取れるように授業を設定し、理科の単位も標準より増やすなど、新課程入試に合わせ、理数系は最も難関といわれる京都大学に対応できるカリキュラムに変更し、現役で大阪大学に合格する生徒を輩出するなど、成果を出しています。
通常授業を補うための「講習」は、希望者を対象に朝7時40分から8時10分までの30分間と、放課後16時から17時までの1時間で実施しています。
今年から英・数・国の3教科に限り対象を中学生にも広げ、さらなる学力向上を目的に充実した内容で取り組んでいます。
本校の生徒数は1学年50〜60人ですが、希望者がたとえ1人でも開講し、生徒のやる気に応えられるように準備しています。現在は中学生で6割程度、高校生では4割程度の生徒が参加しています。
この希望者講習は今よりもさらに力を付けることを目的に実施していますが、新たなステージへの進学を控えた高校2・3年生にはより手厚く、特に高校3年生は受験対策として演習問題を中心に展開しています。また、国語では漢文、英語ではリスニングなど、生徒個々では取り組みづらいのに、入試での得点比重の高い分野もしっかり鍛えていきます。
本校では敢えて外部講師を招かずに、生徒の学習進度をよく理解している教員が講習を担当することで、個々の生徒の力をしっかりと引き上げられる内容にできると考えています。成果が上がれば、教員も生徒とともに歓びを分かち合う、この姿勢が本校のような少人数制の学校にふさわしい、進学指導の在り方ではないかと考えております。
学習成果を確認するための「テスト」の出題方法にも工夫を凝らしています。従来、定期考査ではそのタームで習った範囲から出題をしていました。しかし、この方法では学期ごとの成果を出すことができても、模擬試験ではなかなか点数を伸ばすことができない生徒がいました。そのため、模擬試験でもしっかりと点数が取れる学力を身に付けるために、7割を現タームで学習した内容から、残りを前タームで学習した内容から出題するようにしました。既に学んだ内容を繰り返し出題する複線型テストを実施することで、抜け、漏れ、忘れをなくし、学んだことを定着させていけるよう取り組んでいます。
そして、必ず年5回の定期考査終了後、そして模試終了後には振り返りを行い、面談で「チェック」を行っています。
生徒たちが放課後の時間を有意義に活用できるよう、面談の時間割りも工夫しました。授業時間を50分から45分に短縮した面談ウィークを設け、7時限目の45分間を自習時間とし、その間に1日3〜4名と1人15分程度の担任との面談を行っています。時間をしっかりと取り決めたことで、部活動や昼休みの時間に食い込むことなく、各回の面談ごとに狙いとテーマを決めているので、有意義な面談内容になっています。
体験学習前には宗教・総合・ホームルームの時間を利用した事前学習、事後学習の時間を「Rainbow Time」として充て、体験学習がより効果的になるように学びの時間を設けています。体験した内容は結果をまとめてプレゼンテーションをするなどし、学びを積み重ねて行けるようにと考えています。これは来年度より本格的に実施していく予定です。
5BOX 基礎学力向上のための取り組み
その他の学習指導について
本校では目と手が届く範囲で、生徒をきめ細やかに温かく見守っていけるよう、少人数制の授業を実施しています。
1学年のクラス数が少ないので、学園祭、体育大会、バザーの3大行事では6学年を縦割り班にして係活動をします。学年を超えた活動を経験することで、社会性を身に付けることができます。少人数制の良さはどの生徒にもなんらかの役割が割り振られること。それぞれに活躍の場があります。失敗を繰り返しながら成功体験を積み重ね、責任感やリーダーシップを養っていけるのが特徴だと思います。
英語と数学は中学3年生から習熟度別授業で進めており、平日の午後と春夏冬の長期休暇を利用して補修授業を行い、一人ひとりの力を伸ばすことに尽力しています。
その他の科目は高校1年生から選択できます。高校2年生からは多様な希望をサポートできるよう29単位55科目の選択科目を設定し、将来の進路実現に合わせた選択を叶えています。
イングリッシュキャンプを中学1年生から実施。まずは英語に親しみを持って楽しむことから始めることで、生徒のモチベーションを高めています。中学2年生からは第二外国語として日本で唯一スペイン語の授業を必修科目として指導しています。また、中学3年生と高校1年生の希望者を対象に、春休みに2週間の英国研修を実施しています。これからますます進化・発展を遂げるグローバル社会に広く羽ばたいていける目を培ってほしいと願っています。
高校1年生は学習の量と進度が大きく変わる大切な時期です。中学時代に勉強の習慣が身に付いていなかった生徒に自学自習の習慣づけがどれほど大切なことかを説くために、入学後すぐに1泊2日の研修合宿を実施しています。仲間づくりとともに、知識が集積していく上手なノートの取り方など、高校での学習パターンを学んでもらう機会を設けています。
学力が一番伸びるのは自分で問題を解き、自ら理解を深めるときです。その力を引き出すために、18時半まで図書館を開放し、自学自習の場を提供しています。校内であればわからないときは教員に質問にも行けますし、より効果的に力を付ける学習ができるでしょう。生徒のより深く学びたいという気持ちを大切に受け止めていける体制を整えています。
今後、入試の在り方が変わってくる可能性があることを踏まえ、本当の学力を身に付けるために、読書習慣を早い段階から進めて、幅広い知識とものごとへの理解力を深めていってほしいと考えています。
今年は各教科担当者が協力をし、中高6カ年でステージごとに60数冊の推薦図書をピックアップした冊子を配布しました。また、小論文対策の、推薦図書を教員がすべて読み、オリジナルに作った一覧表を「進路のしおり」に掲載しています。朝の読書時間なども活用して、読書の習慣を身につけてほしいと思っています。
必修科目:スペイン語の授業
自学自習の場、図書館は18時半まで解放
大学合格実績について
4年制大学の進学率は8割を超えています。そのうち約1割は国公立大学を目指しています。
2004年度より学校改革を本格的に始め、国公立大学進学も将来的には20%は国公立への進学を実現させたいと考えています。
関関同立に関しては毎年5〜6名の合格者を定着させています。
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