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四條畷学園高等学校

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スクール特集(四條畷学園高等学校の特色のある教育 #4)

2022年スタートの新コース制で 一気に生徒数が倍増。人気の理由に迫る。

“挑戦”をキーワードに2022年春から新コース制がスタート。定員を上回る生徒が入学し、話題となった。“楽しい”をキーワードに積極性を引き出す“なわ学スタイル”について紹介する。

学校改革初年度に生徒数倍増の快進撃

今回、お話を伺ったのは、募集広報部部長の小山宣宏先生。学校改革および新コース制の旗振り役であり、宣伝や広報を一手に行う戦略家だ。「総合キャリア」「発展キャリア」「特別シンガク」の3コースでスタートした、学校改革1年目の2022年度入試では、専願受験で498名が受験した。総入学者数は総合キャリア約400名。発展キャリア約150名。特別シンガク約40名。特に総合キャリアコースは人気で、定員220名の予定だったが、結果的に約400名まで増えた。

昨年は学校パンフレットの制作を小山先生が担当し、“挑戦”をテーマにガラッと雰囲気を変えた。パンフレットでは “楽しそう”というワクワク感のあるメッセージを発信。結果、オープンスクールは常時満席、前年よりも来場者数が大幅に増加したそうだ。

学校改革やコース制の変更による影響が、初年度でこれほど顕著になることは珍しい。四條畷学園高校の快進撃は、関係者の間でも話題となった。小山先生は「生徒が楽しいと感じることを学びに落とし込んで、本校らしいプログラムにしています。新コース制は生徒が求めるものだったことが証明されましたし、時代にフィットした結果です」と話してくれた。

▶︎募集広報部部長 小山宣宏先生

生徒自身が“選べる”ことが、モチベーションの原点に

今回の新コース制では、生徒自身が興味をもとに“選べる”仕組みが豊富に用意されているのが特徴だ。

とくに人気だった「総合キャリアコース」ではキャリアデザインの授業で、自分の興味でプログラムを選択することができる。韓国語やトータルビューティ、服飾デザイン、調理、保育、アニメ、声優、ゲームなど、多くの大学や専門学校、企業とコラボレーションした講座の受講が可能だ。今春は400名が入学したため、学校側は後期に向けて、さらに講座を増やしたり、調整したりと大忙しなのだとか。「生徒が目を輝かせて、もっと学びたいと思える“これまでの教育の枠を超えた講座”の企画に我々教師もチャレンジしています」と小山先生も意気込む。生徒の中には、オープンスクールでの小山先生のトークに惹かれ「この先生に学びたい」と小山先生が担当するマーケティング講座を選択した生徒もいたとか。そういった思いこそ、動機の原点になると感じさせられる。

「発展キャリアコース」はプロジェクト型学習が特徴だ。こちらでも自分の興味関心から地域や社会の問題まで、多様なプロジェクトが選択できる。企業への提案としては、アパレル業界大手のアーバンリサーチのSDGsをテーマにしたブランドTHE GOODLAND MARKETや、枚方市の遊園地『ひらかたパーク』などが予定されている。

大学進学を目標とする「特別シンガクコース」においても、コース認定活動が準備されており、漢検や英検、プロジェクトなどを自分で選んで挑戦できる。「当たり前のことですが、自立させようとしたら、自分で考えて選ぶこと、また責任を持って行動することが必要です。大人に決められると、生徒はやる気をなくします。いかに自分で決められる機会を提供できるかが、結局は自立への近道になると考えています」(小山先生)

身近な挑戦で成功体験を積み、それぞれの進路へ

小山先生は、なわ学に進学を希望する生徒を「できることなら大学は行きたい。そして高校時代にやりたいことを見つけたいと考えている生徒」とイメージしている。

「3年後、彼らが自分らしい進路を見つけて巣立っていくために、高校生活ではできるだけ自信をつけさせたい。そのためには大きなチャレンジじゃなくていいのです。毎日の学校生活の中で、スモールステップで成功体験を重ねていく。それが3年後の大きな力につながります」と新コース制の狙いを語った。

たとえば「SDGsをテーマに、社会を変えよう」と壮大に風呂敷を広げても、なかなか行動に結びつきにくいことが多い。それなら、もっと身近な自分の生活の中にチャレンジを見つけて、その成功体験を数多く積むで大きな自信へ育てていくのが、なわ学のスタイルということだ。

この場合、チャレンジを選ぶ優先順位は「楽しそうか、そうでないか」。小山先生は結局、高校生にとっての「楽しい」を突き詰めると「みんなで何かに一生懸命に取り組むこと=青春」だという答えにたどり着いた。そのため、次年度用新パンフレットの表紙にはデカデカと「青春しようぜ!」と入れ、受験生にメッセージを送っている。

一般的に学校では、「社会にとって自分はどうあるべきか」といった姿勢が育まれるが、なわ学の場合、視点はもっと身近だ。となりの人をどうやったら楽しませてあげられるか、その先に社会がつながると説く。小山先生には「高校生の視点に立って、楽しいと感じることが社会に少しずつ変化を与える」という信念がある。大人の一方的な希望ではなく、高校生の正直なリアルな視点で考える。それを徹底されているそうだ。

また、小さな挑戦の積み重ねは、歴史あるなわ学の教育理念「実践躬行」に通じるとのこと。高校生活は、将来に向けて、自分の興味関心と向き合う時期。楽しく充実した生活の中で育まれるポジティブな思いが、進むべき道を指示してくれることを信じている。

変わる教師の役割、教師は“生徒の伴走者”

高校生の視点で「楽しい」をキーワードにした選択肢がたくさんあるなわ学。では実際に魅力的な選択肢さえあれば、生徒は走り出せるのか聞いた。

「今年、入学した生徒たちは、なんでも積極的に『やってみよう! おもしろそう!』と感じられるタイプが多く、非常に驚いています。ただ、もちろん全員がそうではないですし、プロジェクトや挑戦の間につまずいて立ち止まる場合もある。最初の動き出すところ、またつまづいた時、教師は力いっぱい支援します。教師の役割は、生徒がゴールに到着するまで一緒に走る伴走者です。それに尽きます」と話に熱がこもる。

今後、教師の役割は「どうやって生徒に気づかせて、どうやって行動させるか」というファシリテーターに変わると話す小山先生。今、自身がチャレンジしている学校改革の中で、教師と生徒によるなわ学の対話モデルを完成させたいと意気込みを語った。

オープンスクールとなれば、学校の魅力を楽しくプレゼンテーションされる小山先生だが、若い時には人前で話すのが苦手だったという意外な一面も。教師になってからは、他業種の方との交流や、ビジネス書なども多読し、ビジネスの視点が持てるよう感性を磨いてきた。成功体験を少しずつ積み重ねてきた自身の経験は、今のプログラムにも活かされている。

偏差値だけではない学校選びができる

偏差値で学校を選ぶのではなく、自分がやりたいことをするために高校を選ぶ。新入生には「やりたいことがあったからなわ学を選んだ」と口にする生徒が多いのが特徴だ。やりたいことがあるから、積極的に動けるという好循環に、メッセージが届いている確かな手ごたえがあるそうだ。

思い切った新コース制は話題になり、今年度のオープンスクールも盛り上がりを見せる。インターネット検索においても「四條畷学園高校」や「なわ学」とダイレクトに検索される数が伸びている。学校の認知度が上がっている証拠だ。

今後も生徒の心を動かすきっかけになるプロジェクトを増やしていきたいと意気込む。目標は100のプロジェクト。それだけ揃う頃には、なわ学のブランド力、存在感はさらに大きくなっているはずだ。

<取材を終えて>
つねに生徒ファーストで考え、生徒の納得感を大切にしていると話してくれた小山先生。今年の学園祭は、プロジェクトでおつきあいを重ねてきた『ひらかたパーク』を貸切ることになった。制限の多い時代でもできることをと、生徒と考えた結果だ。生徒ファーストは、口先だけではない。

偏差値上位校ではない方に勝負をかけ、新しい道を開拓している四條畷学園高等学校。その求心力は大きく、蓋を開ければ、偏差値では上位校が狙える生徒が「やりたいこと」を理由に、なわ学に進学したケースもあったそうだ。何しろ勢いがある。オープンスクールは、生徒主体で開催される。生徒こそ、学校の姿だ。その姿、ぜひ体感してほしい。

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