中村高等学校
スペシャルレポート 3

歴史と伝統を受け継ぎ、
様々な人に支えられて成長するバレーボール部

公開日:2023.8.24

1929年の創部以来、数多くのメダリストやオリンピアンを輩出してきたバレーボール部。歴史と伝統を感じながら育まれる力やメリハリのある活動などについて取材した。

Index

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1929年創部の歴史と伝統

中村高等学校バレーボール部の歴史と伝統について、監督の中村公俊先生に話を聞いた。

中村高等学校バレーボール部の歴史は、中村高女排球部として創部した1929年まで遡る。9人制時代には、公式戦149連勝記録を樹立。様々な記録を残し、ヨーコ・ゼッターランド氏をはじめとするメダリストやオリンピアンを数多く輩出してきた。

中村公俊先生

「1929年の創部なので、あと6年で100周年を迎えます。まずは、多くのメダリストやオリンピアンが作ってきた歴史を絶やさないことが使命だと考えています。完全中高一貫校として、高校募集を停止していた10年間は部員集めに苦労しました。中学入試だけでは、バレーボールをやりたくて受験する子が多くはなかったからです。2018年度に高校募集を再開してからは、少しずつチームとしての活気も戻ってきました。まずは関東大会を目指して、新しい中村のバレーボール部を作っていきたいと思っています」(中村先生)

バレーボール部の公式X (旧Twitter)やInstagramなどを見ると、いつも部員と一緒に写真に収まっている公式キャラクターがいる。この「なキャむらくん」には、卒業生2人の思いが込められていると、中村先生は説明する。

「なキャむらくんは、2013年に第1回生徒キャラクター募集で選ばれた学校の公式キャラクターでした。その後、学校の公式キャラクターは新しいものに変わることになったので、なキャむらくんはバレーボール部が使わせてもらうことになったのです。生徒が描いたのはイラストだったのですが、数年前、当時80歳だった卒業生がバレーボール部のために何かしたいとおっしゃってくださいました。そこで、公式キャラの人形がほしいとお願いしたら、手作りの人形をプレゼントしてくださったのです。こんなに大きなものを作ってもらえると思っていなかったですし、世界に1つしかない大切なものなので、いつも写真を撮影するときには一緒に写すようにしています」(中村先生)

中央のキャラクターが「なキャむらくん」

バレーボール部が練習する体育館には、「いつも心に太陽を」と書かれた横断幕が掲げられているが、これも卒業生の保護者から贈られたものだという。

「あの横断幕は、平成5年度卒業生父母会からいただきました。『いつも心に太陽を』というのは、当時の監督が言っていた言葉です。今のチームに向けた言葉で新しいものを作るとしても、実績が伴っていないうちはおこがましいと思っています。今はまだ、その段階ではありません。我々が考えている言葉を掲げるのは、関東大会出場という結果を出すことができたときです」(中村先生)

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支えられていることへの感謝

日頃の練習やどのようなチームを目指しているか、中村先生に話を聞いた。

3年生はすでに引退し、現在部員は1年生7人、2年生5人の12人。高校入学時にバレーボールの経験がなくても、頑張りたいという気持ちがあればぜひ入部してほしいと中村先生は語る。

「入学時に上手いか下手かで、適性を判断することはありません。上手くなれるかなれないかは、どれだけ本気でやれるかで決まってくると思っています。ですから、一生懸命に、真面目にコツコツ頑張れる選手なら、入部の段階で実績がなくても大丈夫です。この学校でバレーボールを頑張りたいと思ったら、ぜひ見学に来てください。私自身、メリハリをつけないのは嫌いなので、練習もオンオフをつけてやっています。練習をするときはしっかりやって、遊ぶときは思い切り遊んでほしいです。今の部員たちも、オンとオフの切り替えができています。やるべき時は『やるぞ!』と気合いが入り、リフレッシュするときは力を抜ける、そんなチームです」(中村先生)

同校のバレーボール部と他の部活動との違いは、やはり歴史と伝統である。

「生徒たちには、バレーボール部の部員であることに、常にプライドを持つように言っています。全校集会のときは、椅子を並べたり、シート敷きをするのもバレーボール部の生徒です。練習で体育館を使うとき、他の部より優先して使わせてもらっているからです。活動時間も他の部は5時半までですが、バレーボール部は長く使わせてもらっています。その感謝をどう伝えるか、肌で感じて行動できるようになってほしいです。学校外に出たときにも、それができる人であってほしいと思っています。せっかくチームスポーツをやっているので、お互い助け合い、チームの一員として今何をすべきか周りを見ながら状況を判断して、動けるようになってほしいです」(中村先生)

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2年生の部員3人にインタビュー

3年生が引退した後、部の中心となって活動している2年生3人に話を聞いた。

Nさん(高2:高入生)キャプテン・セッター
Gさん(高2:中入生)スパイカー
Sさん(高2:高入生) レシーバー

―― バレーボール部に入った理由を教えてください。

<Nさん> 小学生のときからずっとバレーボールをやってきたので、高校でも迷うことなく続けようと思いました。

Nさん(高2:高入生)キャプテン・セッター

<Gさん> 私はバレーボール部に入る気はありませんでした。バドミントン部に入ろうと思っていて、入学前に中村先生にバトミントン部の活動日を聞いたら、なぜかバレーボール部の活動日を教えられました(笑)。入学したら担任が中村先生だったので、縁があったのかもしれません。バドミントン部を見に行ったら私には静かすぎて合わないなと感じ、隣で練習していたバレーボール部に行ってみたら、先輩がとても優しかったんです。先輩が優しかったから入部しましたが、今はスパイカーとして頑張っています。

Gさん(高2:中入生)スパイカー

<Sさん> 小学生のときに同じチームだった先輩が中村に通っていて、この学校を勧めてくれたんです。体験に来てみたら、私に合っているなと思ったので入部しました。

Sさん(高2:高入生) レシーバー

―― 中村高校のバレーボール部はどんな雰囲気ですか?

<Nさん> みんな明るくて元気で、とにかく楽しいです!

<Gさん> 一人ひとり個性が強いので、自然にみんな笑顔になるチームです。練習中の先生は厳しいけれど、練習以外は優しくて面白いです。先生との距離が近くて話しやすいですし、普段と練習中とのギャップがあって、オンとオフがはっきりしているのもいいなと思います。

<Sさん> みんな声が大きくて元気で、他のチームより笑顔が多く、声が出ていると思います。先輩も後輩も関係なく仲がいいです。コートに出ているときも、みんな楽しんで試合をしています。

―― バレーボール部でどのような力が培われましたか?

<Nさん> 中学までは周りが見えていませんでしたが、今は前よりは周りが見えるようになったと思います。たとえば、以前は自分がミスをした後は、へこんで一人で下がっていたのですが、今は周りに声をかけられるようになりました。 

<Gさん> 去年の秋ぐらいまで、自分から声を出せなくて先生に怒られていました。徐々に声を出せるようになり、発言できるようになったと思います。判断力も付きました。スパイカーは、トスがどこに上がったからどこに打つとか、トスが短いから前に落とそうとか考えなければなりません。プレー中でないときも、誰が何をやったらいいかなど、判断できるようになりました。

<Sさん> 発言力です。中学までは自分の中に秘めて終わっていましたが、高校のバレーボール部では発言しやすい雰囲気なので、自分から発言できるようになりました。プレー面では、他の人に教えることで自分も成長できたと思います。生活面では、中村のバレーボール部は伝統があるので、変な行動をしないように日々の生活からしっかりするようになりました。

―― 将来についてどのように考えていますか?

<Nさん> 体育の先生になりたいという気持ちもありますが、最近はビーチバレーに興味を持ち始めたので、大学で本格的にやってみたいと思っています。中学でも少しやっていましたが、最近、動画などを見てまたやりたいと思うようになりました。ビーチはジャンプしずらくて風もありますが、太陽の下でやるのでとても気持ちいいです。体育館のバレーボールも続けて、ビーチバレーでも活躍できたらいいなと思っています。

<Gさん> 理学療法士かスポーツトレーナーになりたいです。自分が怪我をしやすいので、テーピングをする仕事に興味があります。スパイカーなので、足首の怪我が多いです。テーピングをしてもらうことも多いので、自分でもみんなのケアをできたらいいなと思っています。

<Sさん> お金持ちになりたいです(笑)。大学では、心理学を学びたいと思っています。普段から周りの子たちの行動を見て、なんでこんな行動をするか気になることが多いからです。

―― この学校のいいなと思うところを教えてください。

<Nさん> 駅から近くて、すぐ近くに清澄庭園の緑があります。制服がかわいいし、友達はみんな優しいです。先生たちも優しくて、イケメンが多いです(笑)。

<Gさん> 先輩も後輩も先生も、みんな仲良く笑顔があふれている学校です。校舎がとても綺麗で、毎日登校すると警備の方や先生方が挨拶してくれて、明るい気持ちになります。

<Sさん> 挨拶が飛びかい、みんな明るくて、どんよりした空気がありません。中学生も高校生も仲良くおしゃべりできて楽しいです。


取材を終えて

取材で体育館を訪れると、すぐに生徒たちがスリッパを出してくれたことが印象的だった。撮影に必要な状況を作るために瞬時に動いてくれるなど、自分が何をすべきか生徒自身が考えて行動していることが伝わった。練習中と練習以外でのオンオフの切り替えもしっかりできていて、キャプテンとキャプテンを支える2年生を中心に、とてもよい関係が築けている。バレーボールをやってみたい、新たなスポーツを始めてみたいと思ったら、ぜひ見学して、バレーボール部の雰囲気が自分に合うかどうか肌で感じていただきたい。

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