とうきょうじゅんしんじょし
東京純心女子高等学校
学校詳細
建学の精神、教育理念
生涯の支えとなる創設者の教え
創設者は、明治時代、島根に生まれた江角ヤス先生。勉強好きの少女で、当時5人しかいなかった女生徒の一人として、東北帝国大学理学部へ進学。その後、カトリックの洗礼を受け、シスターに転身した。「日本人の手で女子教育を」と考える早坂久之助司教に出会い、1935年、母体となる純心女子学園を長崎に創立。1945年、原爆により214名もの生徒と教員をうしなう悲しみに遭うものの、保護者からの熱烈な要請により、10数年をかけて復興。そして1964年、東京純心女子学園を創設した。
そんな苦難の道を歩んだ江角先生の言葉は、わかりやすく、すっと心に届く。先生たちは今もその教えを受け継ぎ、「たとえ芽が出るのが10年先でも、よい種をたくさん蒔きたい」という高い志で、熱心な指導を行っている。社会に出てから「江角先生のあの言葉の意味は、こういうことだったのか」と気づく卒業生も多数。生涯を通して、生徒の支えとなる教育が、連綿と続いている。
教育の特色
長年培われた、実践的な英語教育
教育理念のひとつである「叡智」とは、主に「学習活動」を意味する。特に、使える英語を身につける「ユニバーサル教育」は、建学当時からの方針。英語4技能も、20年以上も前から実施している。たとえば、二人一組でスキットを行ったり、買い物の実演を行ったりと、体験的なコミュニケーションを学ぶことで、頭の中に英語の回路を作っていく。そのうえで、独自のプリント教材や、少人数・習熟度別クラス編成により、確かな英語力を習得する。
また、カリキュラムを一新。高2から多様な選択講座を設け、時間割をカスタマイズするコースや国公立大進学へ向けての進学コースで、生徒一人ひとりの進路に細やかに対応する。
施設設備
生命の大切さを知る「労作」
八王子の豊かな自然に囲まれながら、各学年が、畑で「労作」の授業に取り組んでいる。高3では、さつまいもを育て、収穫後にはやきいも大会を開催。また、草花の手入れを日常的に行うなど、生命にふれる体験を重ねる。
校地は広く、運動施設も充実。2つの体育館のうち1つは、バスケットボールコート2面、バレーボールコート4面がとれる広さを誇っている。
以前、併設大学に音楽科があった名残から、講堂にはパイプオルガンが備えられている。パイプオルガニストによる大学講義体験は、芸術系の進学をめざす生徒にとって、“本物”を知るよい機会にもなっている。
学校行事
将来の道を考える、多様なチャンス
高1の夏、希望制で17日間のオーストラリア語学研修を実施。1家庭1人のホームステイが、貴重な経験となっている。2年前から「ターム留学」も実施。ともに、オーストラリアの姉妹校が舞台だ。また、春休み、夏休み中に実施する東北ボランティアは、「人の役に立つ仕事がしたい」という思いを芽生えさせ、進路にも大きな影響を与えている。
一方、学年対抗のスポーツ大会は、学校中が盛り上がる行事。10日間という短期間のなかで、勝つための戦略を練りながら、級友との結束を強めていく。もちろん、縦のつながりも強く、3年生を送り出す「フェアウェルパーティ」では、別れのさびしさと感動に包まれる。
部活動
部活動でも、人に尽くす
同校の理念を体現している部活が、「つくし部」。「人に尽くす」の意味どおり、施設訪問など様々なボランティア活動を行い、地域からも高い評価と信頼を得ている。吹奏楽部やコーラス部などの文化部は、地域の演奏会もあり、発表の機会を多く持っている。吹奏楽部は、2016年度、17年度と連続して都大会の金賞を獲得した。
部活動は中1~高3まで6年間を通して行うため、縦のつながりができ、コミュニケーション能力、人間力が磨けるところがポイント。また、多くても週4日までと決まっており、残りの時間を勉強などにあてることで、文武両道を実現している。
進路指導
2つのコースで、進路に対応
「特進プログラム」と「セレクトデザイン」の2つのコースで、新大学入試にも対応する。5教科中心で国公立をめざす特進は、週2回7時間目に「演習」を設置。科目選択の多いセレクトとともに、夢を実現するメリットにあふれている。
進路指導としては、卒業生の力を重視。「在校生・卒業生懇談会」(在卒懇)では、勉強方法や大学選択などの具体的なアドバイスを、身近な先輩から受けられる。
進路の傾向として、5年程前から、看護・医療系の進学希望が増えており、そこに特化した授業も展開。看護・医療系に限らず、多くの生徒が、「人の役に立ちたい」という観点から進路を選んでいる。「貢献」という建学の精神が、生徒たちの心に根付いている結果だと言えるだろう。
その他
図書館を活用した「探究型学習」の真価
中高2つの図書館を活用した「探究型学習」が、同校最大の特長。図書館を重視するのは、校正された本から論理の構成を学ぶことで、説得力ある文章を書けるようになることから。答えのないテーマについて、図書館の資料で調べ、まとめ、発表するというのが基本の流れ。「学び方を学ぶプログラム」だと言うことができる。社会に出てからも、どんな問題に対しても使える、重要なスキルだ。
中心となっているのは、常駐の司書教諭たち。この司書教諭こそ、全国各地の学校が見学に訪れ、ノウハウを学んでいく、業界の有名人。しかも、生徒の顔と名前、本の好みを完璧に把握し、「次にこれを読んでみたら?」といった的確なアドバイスまでくれる、頼もしい存在だ。その結果、卒業生は、何十枚という大学のレポートや、会社に入ってからの企画書にも、尻込みしないとのこと。インターネットに頼りがちな今の時代だからこそ、より必要な教育と言えるだろう。