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正則高等学校 

スクール特集(正則高等学校の特色のある教育 #4)

丁寧な対応を軸に始まった、オンライン学習への新たな挑戦

「教育は全ての生徒にしっかり行き渡らないといけない」という信念のもと、きめ細やかな対応をしながら休校を乗り切った正則高等学校。初めてのオンライン学習と生徒に寄り添う先生方の取り組みを取材した。

コロナ禍の影響で突如始まった3ヶ月にも及ぶ休校。ICT化があまり進んでいなかった正則高等学校でもICT委員会を作り、初めてのオンライン学習に取り組んだ。チームスとチャットを活用したオンライン学習の内容や大切にしたことを校長の千葉先生、ICT委員会委員長の根岸先生、養護教諭の佐藤先生に聞いた。

電話や手紙、郵送などアナログな手段でリモート開始

2月末、突然の休校要請。正則高等学校の最初の問題は、3月1日に予定されている卒業式をどうするかということだった。さんざん悩んだ挙句、卒業生と教職員だけのシンプルな卒業式を実施。式辞は校長と卒業生代表のみ。それでも、卒業式を行えたことに保護者からは感謝の言葉が寄せられた。3月の行事は軒並み中止になり、終業式だけが各教室で放送を通して行われた。休校中、生徒が登校したのはその1回だけ。6月まで休校が続いた。

まだまだ、ICT化が進んでいなかった正則高等学校。生徒も全員がタブレットを持っているわけでもなく、すぐにオンライン授業に入れる状態ではなかった。まずは課題を用意し、すべてまとめて生徒の自宅にレターパックで送付し、期日までに課題を提出してもらうというアナログな手法から始まった。2、3年生には教科書もレターパックで郵送した。そして、まだ入学式もしていない新入生に対しては、お互いの顔もわからないため、担任の先生から挨拶の電話。その後、手紙を送るなどしてコミュニケーションをとった。
「1年生の保護者や生徒が不安に思っていると思ったので、とにかく丁寧な対応を心がけようと、学年主任を中心に週に1回は必ず電話をして、生徒と直接コンタクトを取るようにしました。また、学級通信を送るなど学校の状況も伝え、心配や不安を減らすことに力を入れました」と千葉校長先生。
保護者とはオンラインでの面談も実施。入学後のアンケートでは、そのきめ細やかな対応に、非常にありがたかったという声が多かったという。

▶︎校長 千葉先生

5月、チームスとチャットでオンライン学習を開始

3月、4月はアナログな方法での学習となったが、そんな中で、ICT委員会を中心にオンライン学習の準備を進めていた。同校では情報の授業でマイクロソフトのチームスを活用しており、全員がそのアカウントを持っていた。そこで、チームスとチャットを活用したオンライン学習を行うことを決定。
問題は生徒のネット環境だった。「教育は全ての生徒にしっかり行き渡らないといけない」という信念のもと、事前の環境確認をしっかりと実施。全生徒の通信環境やパソコン、タブレットの有無を確認。持っていない生徒には学校のタブレットを貸し出した。遠隔で操作を伝えなければならないため、生徒向けのマニュアルも作成。マニュアルを見ても操作がわからない、不具合があるなどの問合せに対応するサポートデスクも開設し、できるだけ生徒が負担に思わずスムーズにできるようきめ細かな対応を心掛けた。試験的な運用期間を設け、徐々にオンラインでのホームルーム、学習が始まった。
「通常の1時間=50分授業を80分に設定しました。不具合があったり、スタンバイできていない生徒がいたりするので、みんながちゃんと授業を受けられるよう、多めに時間をとりました。授業はチャットを中心に、どんどん指示を出して進め、オンライン授業というよりはオンライン学習ですね」と根岸先生。
ここにも、教育は全ての生徒にしっかり行き渡らないといけない、という考えが表れている。出欠は、授業最後に実施される小テストの回答で確認。先生方はパワーポイントのスライドや、音声、映像などを混ぜ込みながら、飽きさせない工夫をされていたそうだ。
1年生の担任の先生は、生徒一人ひとりと面談を行ったり、正門から自分の教室までの行き方や校内ツアーなどの動画を配信し、まだ、一度も学校に来られていない新入生に少しでも学校の雰囲気を伝えようとしていたという。

オンライン学習が始まって、生徒たちの生活は規則正しくなったようだ。それまでは一日中寝ていても良かったし、課題も好きな時間にやってよかった。しかし、オンライン学習が始まったおかげで、朝はちゃんと起きて決まった時間に授業に参加するように。昼夜逆転していた生徒も、オンライン学習のおかげで生活のリズムが整ったという。また、ほとんど家族としかコミュニケーションが取れていなかった生徒にとって、オンラインで友達の状況がわかり、様々な情報が配信されてくることで、生活にメリハリも出た。
「オンライン学習では、生徒の意外な一面を見ることもできました。普段はあまり社交的でなくおとなしい生徒に限って、オンライン学習では生き生きと反応が良いという、逆転現象が起きています。顔が見えないからこそ、自分の考えを表出できているようです」と根岸先生。オンライン学習の意外な効果が見られた。

▶︎ICT委員会委員長 根岸先生

心と身体の健康を保つ「オンライン保健室」

学習面だけではない。生徒の健康をサポートし、生徒の不安やストレスにも対応できるよう、オンライン保健室も開設。
「その当時、ニュースなどでは家の中での虐待が不安視されていました。そんなこともあり、よく保健室を利用していた生徒や不安な生徒などもいたので、休校中の様子が心配でした。親を介さず、直接生徒に連絡が取れないかと考えたとき、オンラインでのやり取りは丁度良いのではないかと思いました」と養護教諭の佐藤先生は言う。
まずは、オンライン試験期間に体温と体調の報告から始めた。全校生が自宅で体温を測り、体調とともにオンラインで報告。あわせて、オンライン保健室を利用したいかも確認した。気になる生徒には週に1回程度、「どうしてる?」というようなメールを送り、状況を確認。生徒が不安に思っていることはないか、元気に生活しているかを常に気に留めていた。
「心のケアになったかどうかはわかりませんが、いろいろなことを溜め込まずに伝えてくれたということはありました。それが、学校が始まってからの心のケアにもつながりますので、やってよかったと思っています」と佐藤先生。

学校が始まった現在も、朝の検温報告はオンラインで行っている。

▶︎養護教諭 佐藤先生

リアルとオンラインが融合した新たな教育方法

6月になって分散当校が始まり、今は通常の登校となった。4月にできなかった入学式も1年生の担任のたっての希望で6月に実施。三密を避けるため、2日間に分けて4回行われた。短時間ではあったが、保護者も1名に限って参加することができ、非常に喜ばれたという。感染対策もしっかり行っており、その対応を見て「安心した」という保護者が多かったそうだ。

今回の休校で、遅れていたICTに着手することになった正則高等学校。やってみて、新たなツールが一つ加わったと校長の千葉先生は言う。ICTに関する先生方の認識も変化してきており、オンラインを上手に使えば有効な手段になることに気付いたという。学校が始まった今も一部でオンラインを活用している。
また、コロナ禍で大学のオープンキャンパスも中止になり、生徒たちはオンラインでの相談を行っているそうだ。2年生の希望者が病院で実施する看護体験も、オンラインで行われるという。
今回は最低限出来るところで始めたオンライン学習だったが、もう一歩先に進む段階にきていると根岸先生は言う。今後は動画を増やすなど、内容の充実やもっと学びたいという生徒のためのコンテンツも考えていくそうだ。先生からの一方的な発信だけでなく、Zoomなどを活用して双方向のやり取りができればと根岸先生は抱負を語る。

最後に、校長の千葉先生は言う。
「学校が始まって、生徒たちは生き生きとしているように感じます。今回のコロナ禍による休校で、先生方はホームルームやオンラインなどで新聞記事や社会で起きていることをいろいろと伝えていました。そのような記事を読んで書いた生徒たちの作文には、社会で起きていることは自分と無関係ではなく、当事者であるということを感じ、身の回りにある矛盾や大変な状況を自分なりに感じたことが書かれていました。例えば、看護師さんや医療関係者への心無い差別意識のことや、生活が苦しくなっている人がいることなど、今まで気にも留めなかったことに目を向けている。自分は何ができるのか、どうしたら良いのか考えているようです。すごいなと思います。今回のコロナ禍は大変なことではありますが、生徒たちにもいろいろなことを考えさせる題材になったようです。」

<取材を終えて>
細やかな気配りで、生徒に寄り添い、丁寧に休校の対応を進めていたことがひしひしと伝わってきた。特に新入生とその保護者に対しての心配りは細やかだった。「この学校に入ってよかった」そう思ってもらえるよう、せめて温かい気持ちが伝わるように心がけていたという。学校に生徒が戻り、人と関わりながらにこやかに、生き生きと頑張っている生徒の姿を見て、「やっと学校になった」と言った校長先生の言葉が心に残った。

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